愛子さまが学校生活の不安
2011年2月21日、51歳の誕生日を前にした記者会見で天皇陛下は、宮内記者たちから「長女の愛子さまが通学への不安を訴えられ、学習院初等科に通常の登校ができない状態となってから、まもなく1年となります。(略)このような状況を踏まえて、愛子さまの現在のご様子をお聞かせください」などと質問され、このように答えた。
報道によると、この記者会見から約1年前の2010年3月初めに、皇太子ご一家(当時)の世話をする東宮職のトップである東宮大夫は、学習院初等科2年生の愛子さまが学校生活の不安などを訴え、学校を欠席していることを明らかにした。3年生の新学期が始まって以降は、始業時刻より遅い時間に雅子さまに付き添われて車で登校。雅子さまが見守られる中、一部の授業に出席し、早退していたという。
2010年12月9日、47歳の誕生日を迎えた雅子さまは《この何か月かの間は、学校の先生方のご理解をいただいて愛子の通学の付き添いを続けておりますが、幸い最近では、愛子が学校で過ごす時間もだいぶ長くなり、お友達と楽しそうに過ごしている姿に安堵しております》などと綴った文書を発表した。
この時期、雅子さまも病気のため長期療養中だった。「雅子自身の体調が万全でない中で、毎日、本当によく頑張っていると思います」と、天皇陛下が会見で気遣ったように、雅子さまにとって娘を支える日々は苦難の連続だったに違いない。仲がよいいとこの佳子さまも、愛子さまのことを当時、どれほど心配したことだろう。長い人生において、「それを乗り越えようと、前向きに頑張る」(天皇陛下の発言)努力と勇気が大切なのだと教えられる。
<文/江森敬治>
えもり・けいじ 1956年生まれ。1980年、毎日新聞社に入社。社会部宮内庁担当記者、編集委員などを経て退社後、現在はジャーナリスト。著書に『秋篠宮』(小学館)、『美智子さまの気品』(主婦と生活社)など