騙され続けても「感謝しかありません」

 命からがら、10か月かけてゴールを果たす。そのとき、コンビでこんな会話をした。

「めちゃくちゃ嬉しかったのですが、もうこの先、何が仕組まれていても、次は絶対に断ろうと2人で話し合いました(笑)。ですが、当時は番組に出たい人が大勢いましたから、出演できたのは宝くじが当たるぐらいの確率だったと思います。この番組じゃないと絶対にできない体験をさせていただきましたし、同世代でいちばんつらい思いをしていると思った瞬間もありましたが、今はそれが自信につながっています。『電波少年』には騙され続け、命の危機に晒されたこともありましたが、感謝しかありません」

 帰国すると仕事は増加。長髪とヒゲがトレードマークの『Rまにあ』として知られる存在となったが、

「番組で丸刈りにしてヒゲも剃るというシーンがあったのですが、これによってお笑いイベントに呼ばれてもRまにあだと信じてもらえないことがあって……。本人たちはいつ出てくるんだという空気が流れて、それはつらかった思い出ですね」

 しかし、芸人としての限界を感じた幼なじみで相方の中島は引退を決める。コンビは解散となり、しゅくは今ピン芸人として活動を続けている。最近はどんな活動をしているのか。

「2022年には、ペットシッターの会社『ハッピープリン』を立ち上げました。きっかけは『電波少年』です。今でも鮮明に覚えているのは、苦しかったことよりも、人に優しくされたこと。苦しいときに助けてもらったからこそ、自分も人のためになることができないかと考えたんです。そんなとき、コロナ禍でワンちゃんやネコちゃんを飼い始めた人が家を空けて出かけられないという声を聞き、やってみようと思いました」

 もともと動物好きだったというが、本格的にペットを飼育するようになったのも『電波少年』がキッカケだった。

「番組で海外を旅する中で資金を稼ぐため、アルバイトをしていたんです。その中でヘビ使いに弟子入りをして、ヘビのお世話をしたり、ショーに出たこともありました。そこから爬虫類の魅力に目覚めたんです」

 さまざまな経験が、今の人生を形作っている。