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ー 《注意喚起になっていない》

 

 秋田県が制作した“クマに注意”を促すポスターが《かわいすぎる》と、物議を醸している。

「ことの発端は、7月3日に行われた秋田県議会。とある議員が“かわいすぎてクマの怖さが伝わらない”と指摘。ポスターには、よだれを垂らすクマや子犬のようにお座りするクマなどがコミカルに描かれていました。このイラストを描いたのは県の職員で、すでに3万5000枚が印刷されており、県や自治体などに配布されています」(地元紙記者、以下同)

 秋田県では、クマによる人的被害が相次いでおり……。

「クマに襲われた人が命を落とす事故なども発生しており、2023年には県で過去最多となる70人の人的被害が報告されています。2024年に入ってからは500件以上の出没情報が寄せられているそうです。こうした深刻な被害を受けて、秋田県は今後、ポスターの見直しを検討しています」

《注意喚起になっていない》

 この“かわいすぎる熊ポスター”についてネット上では、

《殺気が感じられないということは、注意喚起になっていない》
《人を襲い、顔の皮まで剥ぎ取り、人を殺すクマ。少しグロいくらいの怖さがあるインパクトある看板が良いかも》
《熊が獰猛であることは一般的に知られていることでしょう。イラストが可愛いからって、“あ、ここの出没する熊さんは優しそうだね。大丈夫だね”ってなりますか?騒ぎすぎな気がします》

 など、賛否の声が挙がった。

 今回の指摘を受けて、このポスターをどのように見直していくのか。

 秋田県生活環境部自然保護課長に話を聞いた。

「今回指摘されているのは、ポスターではなくチラシです。チラシには“かわいすぎる”と指摘されたクマのイラストのほか、被害例や出没地域などの情報も掲載しています。報道であったとおり、こちらのデザインのチラシはすでに自治体などに配布されているので、今年度は現行のもので進めていく予定です」

 見直しは、2025年度以降に行われるという。

「こうしたチラシは、毎年新しいものを制作し、年度初めに配布しています。なので、来年度の予算を使用し、来年度に向けてブラッシュアップできればと思っています。自然保護課としても、クマは顔や頭部を狙って襲うという凶悪性を認識していますし、そのような被害を訴えられるチラシに見直せたらと検討しています」

 人を襲うクマの注意喚起には“怖すぎる”くらいがちょうどいいのかもしれない。