さまざまなバリエーションがあった河合氏(右)の選挙ポスターには、桜井MIU(左)がほぼ裸の姿が印刷されたものもあった(画像は河合氏提供)
さまざまなバリエーションがあった河合氏(右)の選挙ポスターには、桜井MIU(左)がほぼ裸の姿が印刷されたものもあった(画像は河合氏提供)
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 そこで、石丸氏の経歴についても触れる。

「京大を卒業されて、三菱東京UFJ銀行(当時)に入り、アメリカのニューヨークや南米などでアナリストとして活躍されます。彼は銀行員を辞め、市長になるのですが、そんな華々しい道を歩んできた人が、地元とはいえ、地方の政治に興味があるだろうか、と。僕は疑問を持ちながら見ていました」

本気で“勝てる”と思っていたらアナリストとしては失格

 石丸氏は、広島・安芸高田市を“世界で一番住みたいと思えるまちにする”と訴え、市の舵取りを担うことに。

「それでも彼は、非常に頭がいい人だと思っていました。大規模な選挙買収事件があって、現金を受け取ったと認めた前市長が辞任した安芸高田市長選に出馬。抜群のタイミングで市長になると、高齢者の多い議会とケンカを始める。バチバチと火花を散らし、議案が通らない状況になっていましたが、これも全部、計算されていたと感じました」

 議案が通らなければ、市長としての仕事が十分にできないはずだが、どういうことか。

「僕も議員の経験があるからわかるのですが、議会の承認をもらわないと、議案も予算も通せないので、議会とはいい関係性を作っておく必要がある。仲が悪いと、全部、不承認にされてしまうので、やりたいことがまったく進まない。それを石丸さんはわかっているはずなのに、議案や予算を通すことではなく、ケンカを続けることを優先するんです」

 市長時代の石丸氏は、居眠りする議員に「恥を知れ!」と喝破し、議長を「国語力がない」と切り捨てるなど、旧態依然の議会を正す“正義の市長”として話題となった。

「すると案の定、一期で市長を辞めて、都知事選に出馬した。つまり、名前を売るため、自身の価値を高めるための計算をしていたのではないかと思ったのです」

 都知事選後、河井氏は石丸氏とYouTubeの生配信番組で共演したという。

「その際、彼は“本気で当選するつもりだった”と話していました。しかし、まったくの無所属の人が小池さんに勝てるはずがない。組織票もないわけですから。だから、彼も本音では当選するとは思っていなかったはず。仮に、本気で“勝てる”と思っていたら、分析のプロであるアナリストとしては失格ですよ」

 ただ、名前を売る行為が悪いとは思わないと河合氏は続ける。

「政治家たるもの、それぐらい狡猾である必要があると思います。しかし、石丸さんを盲目的に応援している人には、そういう狡猾な面も全部見て、応援するか判断することが大切だと訴えたんです。これは、石丸さんを応援することを否定しているわけではありません」

 このときまでは石丸氏を、高く評価していたという河合氏。しかし、選挙後にテレビ番組に多数出演するようになってから、一変したという。

「コメンテーターとのかみ合わないやりとりを見て“アレッ?”と感じた人が多かったはず。人気者に突然、逆のスパイラルが生まれて、悪い評判が増加していく。石丸さんが、ここから評価を立て直すのか、それとも落ちていくのか見ものだなと感じていました」