マブからの軋轢『紫式部日記』には悪口
紫式部の対の存在で、ライバルとされることが多い清少納言。しかし本作では、友情をはぐくんでいる点が新鮮だ。
「友達というより圧強めの先輩と、基本的に苦笑いして聞いてくれる後輩みたいな(笑)。脚本の大石静先生のすごさですよね。ゴールがわかっているからこそ、最初は近づけておく。確実に『紫式部日記』には、清少納言の悪口が書かれているわけですから(笑)」
ギャップの幅を持たせる、そのアイデアに舌を巻く。
「やはりマブからの軋轢(笑)。きっとこれから“あれ、なんかちょっと空気悪くない?”と、その関係性は変わっていくと思います。まひろが強くなっていくのか、ききょうがどうなっていくのか。
ただ、ききょう目線から見ると本当に悪いのは藤原道長(柄本佑)ですよね。道長のせいで、清少納言は大変な目にあってますから。史実ではスパイ容疑もかけられたそうですし。マブの関係も変化していくことになるから、本当にマジで道長、許すまじ(笑)」
令和の『枕草子』を書くなら……
清少納言が敬愛する定子。演じる高畑充希とのエピソードを尋ねると、
「普段から飄々とされていて。愛くるしくも、さっぱりした方。そんなところも定子さまに重なります。
私が令和の『枕草子』を書くなら“揚げパン”という章段を入れます。NHKのカフェには、いつも売り切れている揚げパンがあるんですね。たまたまプレーン味を2個ゲットできたときに、ひとつを充希さんにプレゼントしたんです。
翌日、楽屋に行ったら抹茶味の揚げパンがさりげなく置かれていて。“これはもしや……定子さま!?”と思ったら、やっぱりでした。
『枕草子』には“山吹の花びら”が出てくる章段があるんです。スパイ容疑によって里に帰った清少納言のもとに定子から手紙が届くんですが、紙には何も書かれていなくて」
梔子(くちなし)とかけた、花びらが1枚だけ。そこには“いはで思ふぞ”。
「現代語に訳すなら“言わなくてもわかってるから帰っておいで”。なんだかそれに似ているなと、本当に感動して。“充希さま〜!”ってなりました(笑)」