「特にオリンピックのような、世界中が注目する国際試合に出場する選手にとって、SNSは諸刃の刃と言えます」とは、国内外のアスリート事情に詳しいスポーツジャーナリストの話。
阿部と同様に、オリンピアンやトップアスリートも開設することも珍しくない、インスタグラムやX(旧ツイッター)といったSNS。試合の活動報告やプライベートでの息抜き、はたまた所属企業やスポンサー企業の“広告塔”として活用される側面もあるようだ。
体操・宮田笙子はインスタ投稿を削除
「世界発信されるSNSは国内外に多くのファンを獲得できる、またビジネスチャンスを広げるツールです。ところが、世界に名が知れ渡るほどに“アンチ”が増えるのも常理でして、特に大きな試合で負けたり、はたまた事件や不祥事を起こすと“待ってました”とばかりに口撃を仕掛けるのです」(ジャーナリスト、以下同)
パリ五輪の開幕直前には、20歳未満にも関わらず喫煙と飲酒をしていたことが発覚し、代表辞退に追い込まれた体操女子・宮田笙子選手。やはり彼女のインスタグラムには誹謗中傷に近いコメントも書き込まれ、全ての投稿を削除する事態に追い込まれた。
「柔道男子60キロ級の準々決勝で、永山竜樹選手に勝利したフラン・ガルリゴス(スペイン)のインスタグラムにも、判定に不満を持った一部の日本人ユーザーが批判的なコメントを投稿して炎上しています。
普段は柔道に全く興味のない人でも、これまで全く知らなかった選手に対して気軽に書き込ませるリスクがSNSにあります。オリンピックという国同士の威信をかけた特別な舞台がなさせる所業なのか、それともアスリートに限らず、日頃からターゲットを物色しているユーザーなのか」
団体戦への出場はまだ未透明だという阿部。金メダル獲得のためにまた、自身の足で立ち上がってほしい。