逮捕に誤りがあったのか?

「そりゃあ、顔を叩いたり、首を押さえ込んだりしたかもしれない。でも、それはあくまで止めるためのものであって、殺意まではなかったと思うけど……」

 だが、それはあくまで想像の範囲内でしかない。決定的な証拠はあるのだろうか?

「司法解剖をしたあと、死亡診断書を書いた医師が“病死”だと言っていたと聞いた」

 逮捕が間違いであるならば、Aを一刻も早く釈放してほしいと親族は話す。

 この司法解剖の結果については、いまのところ埼玉県警は発表していない。逮捕の誤りについては

「結局、容疑は殺人未遂のままで、殺人には切り替えおらず、“未遂”で送検しています。したがって、逮捕に誤りがあったということにはならない。司法解剖の中間報告によると“病死の可能性があるが、それは最終的なものではない”となっています」(捜査関係者)

 警察側の言い分を親族に伝えると、“Aの疑いを晴らすことも大事だが……”と口ごもった。

「Aはどのみち一生、外で働くわけでもないから。ただただ、早く自由の身にしてほしいだけ」

 近所の住民もこう話す。

「Aは無口でおとなしい子で、母親と一緒に出かけるなど、仲がよかったから殺害したとは思えない」

 息子は母親に手をかける凶行に走ったのか。今後の警察の慎重な捜査を待つほかにないだろう。