冒頭のセリフは、8月16日放送のもの。轟がパートナーの遠藤(和田正人)を寅子に高らかに紹介した。
「寅子が新潟に行っている間に、轟にどんな変化があったのかが描かれます。こんなこと言っちゃダメだけど、すごくセリフ量が多くて(笑)」
星航一(岡田将生)と再婚する“意味”を考え続ける寅子に、轟&遠藤は気づきを与える。
「当初、さらっと描くのかなと思ったんですよね。でも、すごくしっかりと轟が心情の変化を語るので、すごいなと思いました。作品の中に込められたメッセージに、ちょっと心打たれました」
男性同士のカップルが朝ドラで描かれることは、おそらく初。
「見た人がどんなふうに思ってくれるのか。朝ドラは挑戦的で、新しいこともしている。作品と監督を信じて、轟の人生を演じ切りたい。たぶん、ここからがまた轟にとって新たなるスタートだと思うんですよね」
挫折を経て「ちょうどいい役者になりたい」
芸能界入りのきっかけは『ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト』('10年)。その後、『仮面ライダーウィザード』('12年)に出演。
「もう、登竜門ですよね。でもその後、いただいたお仕事に根拠のない不安を感じたりしました」
“ジュノンボーイ”で“仮面ライダー”。そのブランドを持つ人へのオファーであって、戸塚純貴へのオファーではないという違和感。何のために役者をやっているのか葛藤が続いた。
「若かったから“僕を見ろ!”という気持ちもあって。すると、どんどんオーディションも受からなくなっていって。5年くらいかな?挫折ばかりでした。
いただいた役でも、必要のない小手先のコミカルさを加えたり。でも、コミカルさってやっぱり技術や本人が持つ面白さが合わさって初めて成立するものだと気づいて。演出家の福田雄一さんとの出会いは大きかったと思います」