“祖母”にかけられた言葉
最初のロケでは、
「江守徹さんとは初対面で、大御所なので緊張していたのですが、会うなり“ハウ・ユー・ドゥーイング?”って。英語が堪能だと知らなかったのでビックリしました。それからは英語で気さくに話しかけてくださって、ウィットのある楽しいオジさまでした」
祖母役だった中村メイコさんにも可愛がられたという。
「メイコさんには、本当にお世話になりました。スタジオに、お弁当を作ってきてくださって。3色のそぼろ弁当に、きんぴらやひじきも一緒に。私がずっとスタジオにいて、野菜が不足しているだろうと、ヘルシーで栄養価の高いものを考えて、持ってきてくださったりしました」
中村さんにかけられた言葉も、はっきり覚えている。
「メイコさんは“もう二度と、『さくら』みたいな現場には出会えないからね”と、おっしゃっていました。あれから20年がたって、その意味がわかった気がします。撮影が深夜まで続いた翌朝、みなさん疲れているにもかかわらず、空気が読めないハイテンションな私の相手をしてくださったり、当時を振り返れば、たくさん支えられた現場だったと思います。二度と味わえない、かけがえのない1年だったと思います」
最高視聴率は27・5%。女性からの支持も高かった。
「女性が働くとき、差別されているというメッセージが田渕久美子さんの脚本にはありました。ヒロインが自分の考えをちゃんと言う。『さくら』を見ていた女性たちには共感できる部分があったんじゃないかなと思います」
当時は自ら役作りで髪形をベリーショートにしたという高野。現在も女優を続ける。
「今も私は『さくら』が基準。何もかもが、今につながっていると感じています」