取材と察したのか、猿之助はサングラス越しに記者を見つつ、悠然と無言のままスマホのカメラをこちらに向けた。

猿之助が記者に放った“ひと言”

2024年8月下旬、取材時の市川猿之助と市川段一郎。表情をこわばらせる猿之助と対照的に、飼い犬は記者にじゃれるなど人懐こかった
2024年8月下旬、取材時の市川猿之助と市川段一郎。表情をこわばらせる猿之助と対照的に、飼い犬は記者にじゃれるなど人懐こかった
【独占写真】完全に立ち直ったのか、愛弟子に“青空稽古”をつける猿之助

─舞台への復帰が決まったのでしょうか?

 猿之助に対する問いかけに、横にいた段一郎は、

「まったく関係ございません。今は普通に過ごしておりますので……」

 と、猿之助を守るように横から遮りながら否定。その間、ベンチから立ち上がり、歩き出す猿之助。段一郎も彼の後を追うようについていく。

 歩き出した猿之助に再度、記者が声をかけると、無言だった猿之助が口を開き、

「やめてもらっていいですか」

 と一言。続けて段一郎に、

「車を動かしておいて」

 と指示。そのまま2人と一匹は公園から去っていった。

 復帰についていっさい語らずとも、弟子に稽古をつけるなど歌舞伎とは向き合っているようだが─。

「10月から始まる『双蝶々曲輪日記』は“萬屋”の中村錦之介さんと、その息子の中村隼人さんが中心の巡業。段一郎さんはほかの門流の稽古に入る前に、師匠である猿之助さんから演技の指導を受けたのだと思います」(梨園関係者、以下同)