目次
Page 1
ー 自民党総裁選の行方
Page 2
ー “もし進”で訪れる3つの危機
Page 3
ー 燻ぶり続ける“裏金問題”

 

「今、43歳ですけど、仕事のさまざまな判断、決断をいちいちオヤジに仰ぎますか」

 8月10日に配信されたラジオNIKKEIのポッドキャスト番組で、小泉進次郎元環境相はそう語った。

自民党総裁選の行方

 岸田文雄首相は8月14日、自民党総裁の任期満了とともに退陣することを表明し、総裁選に向けた動きが活発化している。

 各報道機関の世論調査では、総理にふさわしい人物として常に上位に名を連ねている進次郎氏。しかし、父親の小泉純一郎元首相は、

「進次郎は50歳になるまで総裁選に出さない。本人にも、そう伝えている」

 と、5月に行われた政治家たちとの会食で、そう語っていたという。冒頭の進次郎氏の発言は、こうした“オヤジ”の言葉を否定したもの。

「進次郎さんの閣僚経験といえば、安倍晋三内閣で環境相を務めただけ。純一郎元首相としては、もっと経験を積んでほしいと思っていたのでしょう。変に出しゃばれば、老練な議員にいいように使われ、未来の芽をつぶされてしまう可能性がある。環境相時代には、さまざまな批判を受けることもありましたが、いまだ知名度は高く、国民からの支持もある。純一郎元首相としては、“勝負”はまだまだ先だと考えていたのでしょう」(全国紙政治部記者)

 進次郎氏が「ポスト岸田」に就けば、自民党の総裁として、さらに総理大臣としても史上最年少を更新する。見込みはあるのか。

「進次郎氏が勝つ可能性は非常に高いと考えている。しかし、進次郎政権が発足しても短命でしょう」

 もし進次郎氏が首相になったら─の“もし進”があると話すのは、元参議院議員でジャーナリストの有田芳生氏。かなり厳しい評価だが、その理由について有田氏が話を続ける。

「彼は非常に勉強家なんです。例えば、いい記事を書く記者に会って文章の書き方を勉強したり、若手のカメラマンに会ってその世界について聞いたりするなど熱心です。ただ、学んだことが身についていない。だから国連の会議で“セクシー”と発言するなど、気の利いたことを言おうとして、空虚な言葉が飛び出すのです。人生経験も少なく、言葉が軽い。首相になっても、国民は期待を裏切られていく形になって、政権は終わりを迎えると思います。だって、彼に中身がないのですから

 進次郎氏で思い出すのは、2019年に米ニューヨークで開催された国連の気候変動サミットでの発言だろう。