テレビプロデューサーの鎮目博道氏によると、フジテレビが“原点回帰”という戦略を取ったのには、とある事情が……。
「“新規企画の不調”です。最近の視聴者は“冒険せずに安心して楽しめる番組”を求める傾向にあり、どのジャンルでも新規の番組は視聴率が獲得できない。さらに、若者はバラエティー番組よりもドラマを好んでいることもあり、その傾向を踏まえて“リバイバルドラマで勝負”となったのでしょう」
“カギ”となる若手のキャスティング
名作ドラマのリバイバル企画を行うにあたって“新旧の融合”が重要だという。
「ファンはかつてのイメージで視聴する可能性が高いです。一方で、キャスト陣が年齢を重ねていたり、放送していた当時と今とでは時代背景も違っていたり。ですから、新旧の要素をうまく組み合わせて“納得感”がある脚本にしなければなりません。キャスティングにおいても、今や“大御所”となったキャストに対して、どんな新キャストを投入するかも肝でしょう。大先輩のイメージを損なわず、爪痕は残さないといけませんから、若い俳優陣が演じるプレッシャーも大きいのではないでしょうか」(鎮目氏、以下同)
フジテレビに限らず、これまでもリバイバル企画が行われた例もあるが、成功例は少ないという。
「話題性に安易に乗っかっている風潮もあり、それだけではファンは納得しないと思います。リバイバルを成功させるには“作品をよみがえらせる手間”がかかりますから、新しい企画を打ち出すよりも意外と難易度の高い戦略なのかもしれません」
名作復活には“いばらの道”が待ち受けている。
鎮目博道 テレビプロデューサー。1992年、テレビ朝日に入社。報道番組プロデューサーなどを経て、『ABEMA』立ち上げに参画し2019年に独立。著書に『腐ったテレビに誰がした?「中の人」による検証と考察』(光文社)など