所作が美しく、凛とした日本女性

 一方、主演女優賞を受賞したアンナ・サワイの演技については、

アンナ・サワイさんが演じた鞠子は所作が美しく、凛としていました。手の置き方や歩き方、あまり大げさな表情を見せないなど、日本から来ている時代劇のスタッフからもアドバイスを受け、当時の日本女性を意識されていたことがとても伝わります。日本語で演じたことで、海外の方からすれば、よりミステリアスで興味深かったのかもしれません」

 映画専門のライターやインタビュアーとして活動する斉藤博昭さんは、『SHOGUN』の制作規模について解説してくれた。

「今回はFXスタジオ(ディズニーが持つ製作スタジオ)で制作した作品の中で、過去最高額の規模なんです。全10話で2億5000万ドル、日本円で約350億円に上り、アメリカのドラマの中でも最高レベルです。制作費に莫大な予算がかけられていたこともあり、日本から時代劇の専門家を呼んだり、セットも壮大なものになりました。日本の時代劇がこれまで培ってきたものを、そのまま受け継いでいるような印象です」

 先人たちが紡いできた“大和魂”は脈々と受け継がれ、国境を越えた。

鎮目博道 テレビプロデューサー。報道番組プロデューサーなどを経て、『ABEMA』立ち上げに参画し2019年に独立
伊藤さとり 映画パーソナリティー。年間500本の映画鑑賞をする映画評論家、映画舞台挨拶のMCも務める
斉藤博昭 映画専門のライター、インタビュアーとして活躍。『リリーのすべて』(早川書房)など翻訳も手がける