議会で6時間演説して“千葉に野田あり”

 両氏の政治家としての歩みは大きく異なる。政治家の父親を持つ二世議員の石破氏に対し、野田氏の父親は元自衛官。石破氏は銀行員からいきなり国会議員に転身したが、野田氏はガス検針などのアルバイトをしながら政治の勉強を続け、千葉県議会議員を経て国政に移った。

重低音で政権追及する「6時間演説」パワーの持ち主、野田佳彦元首相(写真/共同通信社)
重低音で政権追及する「6時間演説」パワーの持ち主、野田佳彦元首相(写真/共同通信社)
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「野田さんは県議時代、議会で6時間演説して“千葉に野田あり”と、その名が中央政界に轟いた演説のスペシャリストです。38年間、毎朝、地元の駅頭に立ち、1人でビラを配ってきました。首相経験を経ても、行動が変わらないのは異色といえるでしょう」

 地元・船橋市では有名な話。元首相がビラを配っても、通勤・通学で急ぐ多くの人が素通りするが、野田氏は「おはようございます」と頭を下げ続けた。政界では“会いに行ける元首相”と呼ばれているという。相田みつをさんの《どじょうがさ 金魚のまねすることねんだよなあ》という詩を引用して以来、泥くさい“どじょう”を自認し、二世議員を“金魚”に例えてぶった斬ってきた。

 趣味は格闘技観戦。プロレスや相撲が好きで、ときの横綱のダーティーファイトを嫌って演説に取り入れたことも。

 政府・自民党が森友・加計学園問題の国会審議から逃げるかたちとなった2017年の解散・総選挙でも怒りをあらわにした。当時、解散を格闘技で例えると――と本誌が問いかけると、

「いきなり横綱が突っかけてきたというか、立ち合いの前に張り手を仕掛けてきた。王道じゃないですよね。やり方がね。もうちょっと、堂々とした解散の仕方があったはずだと思います」

 と答えていた。この衆院選についても同様の捉え方をしているに違いない。

 一方の石破氏は、趣味が多彩。鉄道オタクで、キャンディーズなどの1970年代アイドルに精通し、軍艦や戦闘機のプラモデルを作るのが好きだった。今は老眼のためプラモは“卒業”したという。

「読書家で勉強家でもあります。人とは群れたくないようで、色紙に揮毫する座右の銘は『鷙鳥不群』。ワシのような強い鳥は群れない、という意味です。私も酒席にお誘いしたことがありますが“ちょうど読みたかった本があるので”と断られてしまいました。お酒は嗜むので銀座にちょいちょい1人で出没しているようです。要するに1人でいるのが好きなんです」(前出・有馬さん)