堂々1位は平成の人情喜劇シリーズ
1位となったのは、映画『釣りバカ日誌』シリーズ(1988〜2009年)の“浜ちゃん”こと浜崎伝助。
「ニコニコと釣りをしている西田さんの姿が思い浮かぶ。ご本人の温かい人柄に通じる」(大阪府・35歳・女性)
「三國連太郎さん演じる、社長のスーさんとのやりとりも自然でよかった」(埼玉県・77歳・男性)と、幅広い層から多くの支持が集まった。
「当初は、大人気シリーズの『男はつらいよ』の同時上映作品として製作され、松竹映画もさほど力を入れているわけではなかったようです。それがふたを開けてみれば大変評判がよく、“釣りバカ”のほうも松竹を代表する看板映画になったというわけです」
スーさんが、実は勤務先の社長とわかった後でもまるで態度を変えないざっくばらんさ、出世欲は一切ないが愛妻家で家族思いなところなど、ユーモラスで人情味あふれる浜ちゃんの役柄が西田さんにぴったりだった。
「見終わったあと、絶対に嫌な気持ちにならない作品なんです。その安心感は、やはり西田さんの持ち味あってこそ。シリーズの監督を務めたこともある本木克英さんは、2行のセリフが西田さんのアドリブで2ページになったこともあると語っていらっしゃいました。まさに、西田さんが役をつくり上げ、育てていたのだと思います」
たくさんの感動を与えてくれた西田さん。愛すべきキャラクターたちとともに、これからもずっと私たちの心の中に生き続けていく。
カトリーヌあやこ●漫画家&テレビウォッチャー。著書にフィギュアスケートルポ漫画『フィギュアおばかさん』(新書館)など
取材・文/植木淳子