NHKドラマ『風の峠〜銀漢の賦〜』で主演を務める中村雅俊。柴田恭兵とは『さすらいの甲子園』('80年・日本テレビ)以来の共演だという。
「ヒロインは夏目雅子さんでした。懐かしいなぁ。恭兵とは同窓生、同級生みたいなものですからね(笑い)。同じ景色を眺めながら生きてきたので、お互い多くをしゃべらなくてもわかるというか。それに、40年もこの世界でやっていると、それなりにいたわる気持ちや慰めの言葉が、おのずと出てくるんだよね(笑い)」
中村演じる月ヶ瀬藩の下級武士・日下部源五は暗殺を命じられる。標的は家老の松浦将監(柴田恭兵)。かつては親友だったが、ある事件から20年以上も絶交している男だったというストーリー。
「友情や義を優先させるがゆえに絶交をしたんですが、いろんな思惑が明かされ、また友情が芽生えていくんです」
連続ドラマの主演は34本目。監督らに“中村でやろう”と、運命を共にする覚悟をしてもらえることがうれしくて誇りだと、さらに目尻を下げる。昨年、デビュー40周年を迎え、来月には64歳に。
「60代って、もっと余韻で人生送れるのかと思ったんですよ。たまに仕事して、悠々自適な感じかな、なんて。でも逆で、この60代をいかに生きるか、細かく言うと1日1日を。そういう意識は強くなりました。劇中のセリフにある“命を使い果たす”に似た感じはありますね」
と、穏やかな笑顔を浮かべる。年を重ねようとも、そのカッコよさは色あせることを知らない。
「ただ、認知症はちょっと来ているかも(笑い)」
実は、直前まで取材があることを忘れていたという。
「正月は4日から家族でハワイに行っていたんだけど、“あれっ、ちょっと待て”と気づいて。今日帰ってくる予定になっていたの。笑っちゃうでしょ? あわてて昨日帰れるチケットを手配したんだけど、そのまま気づかなかったら、危なかった(笑い)。だから、今日は当初の予定で帰ってくる娘や孫を、これから迎えに行くんだよね」