こうしたスイッチの入り方は、お笑いやバラエティー番組でも経験したことはなかった。
「むちゃくちゃしてきたように見えて、今までボーダーラインを振り切ったことは恥ずかしくてありませんでした。
ところが『極悪女王』ではそんなことは言っていられません。とにかくもう全部さらけ出して、全員でぶつかっていった結果、スイッチが入るようになりました。こうした環境を整えてくれた監督やスタッフには本当に感謝しています」
『家庭の医学』のような本になってほしい
2年間かけて身体を大きくして、プロレスのトレーニングにも熱心に取り組んできた。撮影の期間中、ダンプ松本の人生を生きたといっても過言ではない。
実はそんなゆりやんも、ダンプ松本を演じるにあたり、当初かなりプレッシャーを感じていたという。
「ところが実際にご本人に会ってみるとおちゃめで優しい香ちゃん。でもじっくり話してみると、めちゃめちゃ熱い人でした。強い信念がなかったら、あそこまでできない。だから歴史に名を残すレスラーになれたんだと思います」
今ではLINEでやりとりをする間柄だという2人。今年の11月11日に行われたダンプの誕生会には、ゆりやんも参加している。
「ダンプさんの妹、全日本女子プロレスの後輩レスラーや当時、追っかけをやっていたファンの人たちも集結。ダンプさん行きつけのスナックに30人から40人集まり、とても温かいひと時を過ごすことができました。ダンプさんの歌うエヴァンゲリオンの『残酷な天使のテーゼ』が今も耳に残っています」
『極悪女王』で主演。過酷な肉体改造に成功し、異次元の演技を見せつけたゆりやんには素敵なご褒美が待っていた。前述した、自身のボディメイクの方法をまとめた著書の発刊だ。
「ダイエットって、やせることがすべてだと思っている人が多いんです。いつまでに何キロやせなきゃと思って、頑張って達成してもゴールを過ぎたら解放されて、ほとんどの場合リバウンドしてしまう。不摂生で“暴飲グ・マイウェイ”だった私自身もそうでした。
そんな私に友さんは、“自分が最高になったらそれでいい”“新しい自分になって、今までと違うステージで活躍できるように頑張ろう”と言って、科学的な裏づけのあるアプローチを教えてくれました。単なるダイエット本ではなく栄養学に基づいた食事、最新のトレーニング、美容にも役に立つみなさんにとって『家庭の医学』のような本になったら素敵ですね」
12月にはいよいよ活動の拠点をアメリカ・ロサンゼルスに移すゆりやん。『極悪女王』で注目を集め、世界進出の夢が今まさに叶おうとしている。
「アメリカのテレビや映画で活躍してハリウッドの大スターになるのが夢。クリエーターとしてもアカデミー賞を取りたい。そして大好きな人と結婚。最高の家庭も築きたい。やりたいと思ったことはムリだと思わず声に出して生きてます。全部叶えますのでよろしくお願いします(笑)」
すでに映画監督デビューの夢を実現しつつある、ゆりやん。10年後の夢を尋ねると、
「ロスのプール付きの豪邸に住んで、ロスと東京を行ったり来たり。大谷翔平さんのようにタレントとクリエーターの二刀流で活躍したい。その全部が“ゆりやんレトリィバァ”の世界ですから」
吉本興業の「最終兵器」から「世界のゆりやんレトリィバァ」になる日も近い!?
取材・文/島 右近
ゆりやんがトレーナーの岡部友さんと、まさに“二人三脚”で作り上げた理想のボディの秘密がここに! ゆりやんの幼少期からの体重の移り変わりを、プライベート写真とともに見つつ、トレーニング&食事法が学べる『じぶんBIG LOVE!~ゆりやん体づくり本~』(集英社)定価1700円+税