着ぐるみを着せられてバックドロップをかけられた高橋真麻
もっとも、これは社風と無関係とは言えないと思います。フジテレビの女子アナは代々ミスコンテストの覇者が多く、西山アナ自身もミスソフィアに輝いています。男性アナウンサーも渡辺和洋アナウンサーは「第9回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」で4位入賞、榎並大二郎アナウンサーは準ミスター慶応に輝くなど、容姿端麗な人だらけ。そういう環境にいると、タイトルを持たない人を下に見たり、バカにしていいと思ってしまうものなのかもしれません。
新人いじりも今に始まったことではなく、現在フリーとして活動する高橋真麻も、お正月に他の女子アナは華やかな着物で番組に出演しているのに、彼女だけ顔の出ない着ぐるみを着せられて、かつお笑いコンビ・FUJIWARAにバックドロップをかけられるという、他の女子アナとはまったく違ういじられ方をしていたことがありました。真麻本人は「愛あるいじりで、ありがたい」と思っていたそうですし、実際、彼女はそれで頭角を現していったわけですから、結果的に「よかった」のでしょう。
しかし、ミスもしくはミスターコンテストの覇者ではない、つまりフジテレビらしからぬアナウンサーを自分たちで採用しておきながら、入社すると「これは愛あるいじりなのだ。本当に嫌いな人には、こんなことをしない。おまえもテレビに出られて知名度が上がるんだから、おいしいじゃないか。がまんしろ」と目の前に人参をぶらさげてごまかすことは、昭和100年ならアリでも令和の時代には通用しないと思うのです。
西山アナの最大のヤバさは、自分の権力性に気付いていないことではないでしょうか。西山アナはアナウンス室ゼネラルアナウンサーという役職についていますが、そんな高い地位に就く西山アナが上垣アナの外見をけなしている時、部下である生田アナ、フリーランスの阿部華也子アナが「そんな言い方はやめましょう」とは言いにくい。場合によっては、西山アナがいじっているのだから、会社としてOKなんだ、自分も言っていいのだと周囲に「いじりOK」のお墨付きを与えてしまいかねないのです。
西山アナは、上垣アナに謝罪し、上垣アナは謝罪を受け入れた、つまりこの件は済んでいるというような話し方をしていましたが、新入社員が自分の上司格にあたる人に「許さない」と言えるわけがないことをまったく想像していないことに震えが止まりません。「愛あるいじり」とは上が下にするものであって、下が上にすることはないと言えるのではないでしょうか。
上垣アナが「愛ゆえに」西山アナに「さすがミスソフィア。昔は抜群にかわいかったけど、今はフェイスラインが大分たるんできましたよね。でも、そのほうが親近感があっていいですよ」といじってきても「自分のためを思って言ってくれるのだ、そのとおりだ」と言えるのでしょうか。やり返せない立場の人にするのはいじりではなく、いじめだと私は思います。