「紀香さんは“自分が仕事をしなければ、社員や若手が給料をもらえなくなるかもしれないと、特にこの1年ほどは舞台にドラマにと働きっぱなし。さらに驚くことに、昨年は数千万円のギャラの未払いまであった。それにもかかわらず、いちばん信頼していたはずの所属事務所が、自分が必死で集めた預かり金に手を付けてしまった状況。
にわかには信じがたい事態であり、まさに裏切られた形です。常識的にも、人道的に考えても決して許されるものではないだけに、すでに雇用関係はなくなっているものの、見かねた元担当マネージャーも紀香さんに寄り添って、関係先へとお詫び行脚に同行しているそうです」(同・舞台関係者)
事務所社長の行為は「法的に横領にあたる」
状況的には紀香こそ“被害者”となりそうなものだが、出資した側からすれば「紀香さんに預けたお金だから」となってしまう。今後の芸能活動についても不透明な中で、紀香自身は「筋だけは通さなければ」と奔走しているのだという。
気になるのは、サムデイの社長が行った行為は法的に「横領」に該当するのかどうか。『弁護士法人・響』の古藤由佳弁護士に話を聞いた。
「“預かり金”は、文字どおり、出資者から“預かっている”だけのお金であり、預かっている人が好きに使っていいお金ではありません。したがって、預かり金を目的外のことに使い込んでしまうと“他人の物”について、所有者(お金の場合は出資者)にしかできない処分を行ったことになり、預かり金を使い込んだ事務所社長に、出資者に対する『横領罪』(刑法252条)が成立します。
横領罪の法定刑は5年以下の懲役です。法人は横領罪の主体にはならないので、サムデイには横領罪は成立しません。そもそも預かり金の目的外の使い込みを、会社の適正な手続きに基づいて決議したわけではないと思うので、これは事務所社長個人の違法行為という評価になると思います」
また、古藤弁護士によると、芸能事務所の社長は、出資者から事業に関する出資金を預かることを仕事の一部として継続的に行う立場にあるため、業務上横領罪(刑法253条)が成立する可能性もあるそう。
「仮に事務所社長が破産したとしても、横領に関する損害賠償請求権は免責されません。これは、破産法が“破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権”について、免責の対象から外しているためです(破産法253条1項2号)。したがって、事務所社長は、他の債務が免責(チャラ)になったとしても、今回の預かり金の出資者に対する返金義務から逃れることはできないと考えられます」
つまり、今回の高橋社長の行為は横領に該当する可能性が高く、会社の破産手続きを行っても、預かり金の出資者たち、ひいては舞台を主催した各劇場への返金は免れることができないということ。
ネット上では、大手芸能プロダクションのサムデイが倒産することについて、疑問視する声が多々あがっている。