食器を洗うときにも、手首を意識して洗っているそう。

コップが深いほど手首をよく使うので楽しいんです(笑)。何もしなかったらそういう身体になってしまうので、家事ひとつでも筋肉を動かすようにしています

いくつになってもキレイでいたい

 現在、お母さまと2人暮らしの天童さん。家事は分担し合っているそうだが、筆子さんはこの5年で2回、骨折をして入院、手術をしている。

2度目の骨折は入院した病院の中でもいちばんの重症と言われたほど。玄関で転んだのですが、私の目の前だったので『どうして支えられなかったんだろう』『事前に手すりをつけておけば』という後悔はずっとあります。でも幸いなことに、80代でも骨がくっついて無事に退院しまして。リハビリも熱心に続けているので、今では杖を使いつつ伝い歩きができるようになり、車いすは卒業しました

長年、コーセーの化粧品一筋。「コスメデコルテは母が大谷翔平さんのCMを見て“ぜったい買う”って(笑)」。左端は病院処方の保湿剤だ 撮影/天童よしみさん
長年、コーセーの化粧品一筋。「コスメデコルテは母が大谷翔平さんのCMを見て“ぜったい買う”って(笑)」。左端は病院処方の保湿剤だ 撮影/天童よしみさん
【写真】91歳とは思えない! 天童さんの美容の先生である母・筆子さん

 最近では、毎晩ベッドで40分ほどの脚上げ運動が習慣に。

私は数回上げるのも大変。おかげで母のほうがスタイルがよくなってきて、周りから“よしみさんも頑張って”と言われています(笑)

 筆子さんは北から南まで、天童さんの全国ツアーにも同行している。

そのほうが私も安心できるし、母も私の歌で元気が出ると言って、公演中は舞台袖の特等席で鑑賞してくれています。もしものときが刻一刻と迫ってきているような気がして。だから一日一日を大事にして、母が快適で、最高に楽しいと思える毎日を過ごすサポートをしていければ

 いつまでも元気でいてほしいとの願いから、転倒事故をきっかけに家に手すりをつけたり、地震の際はどう行動するかを話し合ってシミュレーションするなど、できる範囲で備えているそう。

 さて、年末には『紅白歌合戦』への出場も控えている。昨年は故郷・大阪で通天閣をバックに熱唱し、大反響を呼んだ。今年の見どころについて伺うと─。

驚かせますよ。いくつになってもキレイでいたいっていう思いを込めて、ヴェルサイユ風にバラもあしらってビジュアル系で登場したいと思っています。それで“天童さん、あの年でキレイ”って希望を湧かせたいんです。昭和の時代のように家族でそろって見てもらって、“元気出たわ~”とあったかい気持ちになってもらいたいですね

 さらに、来年は“昭和100年”。それにちなみ、2025年の11月のステージでは昭和の名曲100曲にチャレンジする予定だそう。また、演歌だけでなく、ジャズ、クラシック、J -POPの4ジャンルのコンサートも実現したいと意欲を燃やす。

 この秋、70代に突入し、ますます精力的に活動する天童さんだが、年齢を重ねることをどう捉えているのだろう。

実は60歳になるときは怖かったんです。『赤いちゃんちゃんこ着なきゃいけないの?』ってそればっかり思って、一時期は赤い衣装を封印していたくらい(笑)。でも超えたらなんてことなかった。80代、90代で元気な人もいっぱいいますし、むしろ早く70歳になれって気持ちだった。恋してる人も、結婚した人もいるし、70代はキラキラ輝かなきゃ損です!

取材・文/荒木睦美  

てんどう・よしみ 9月26日生まれ、大阪府出身。天才少女演歌歌手として10代でデビュー。’85年『道頓堀人情』でブレイクし、’97年『珍島物語』がミリオンセラーに。『紅白』への出場は今年で28回目を迎える。最新曲『昭和かたぎ』も好評発売中。