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ー 『光る君へ』名場面ベスト5

 

 12月15日に最終回「物語の先に」が放送され、堂々完結したNHK大河ドラマ光る君へ』。

 1000年を超えて読み継がれる『源氏物語』を書いた紫式部・まひろ(吉高由里子)が主人公で、大河ドラマではあまり見られない平安時代の雅やかな宮廷模様と恋愛が多く描かれ、女性を中心に支持を集めた。

『光る君へ』名場面ベスト5

 そんな『光る君へ』の名場面ベスト5をテレビウォッチャーのカトリーヌあやこさんに選んでもらうと─。

 5位は第9回「遠くの国」の、散楽の一員である直秀(毎熊克哉)が秘密裏に処刑され、まひろと藤原道長(柄本佑)で埋葬したシーン。

「まひろと道長がこの世の理不尽さ、虚しさを思い知る話であると同時に2人がより深く結びつくきっかけになりました。直秀がまひろに言った『海の見える場所へ行こう』という言葉が後にまひろの好奇心に火をつけ、父親とともに越前に行ったり、旅で太宰府に行ったときも必ず海が出てきました。まひろが外の世界に目を向けるきっかけになったエピソードだったのかなと思います

 4位は第35回「中宮の涙」。道長の娘で一条天皇(塩野瑛久)の后である彰子(見上愛)が、今まで言えなかった帝への思いを涙ながらに「お慕いしております」と伝える。

「一条天皇も心を撃ち抜かれたようでした。2人が初めて褥をともにするときに帝が『いつの間にか大人になっていたのだな』と言うと、彰子が『ずっと大人でございました』と答え、多幸感あふれるシーンにキュンとしました」(カトリーヌさん、以下同)

 3位は第21回「旅立ち」で、生きる気力を失った定子(高畑充希)のために清少納言・ききょう(ファーストサマーウイカ)が、枕草子を書き始める。

「枕草子がそういう理由で作られたのかと勉強になりました。『光る君へ』の大きなテーマのひとつに物語の力があると思います。物語には人を生かす力があることがわかる回でした

 2位は第31回「月の下で」から。道長はまひろに、一条天皇から相手にされず寂しく暮らす彰子に、帝の心を向けるための物語を書いてほしいと頼み込む。

何を書けばいいのか迷うまひろに『源氏物語』のインスピレーションが湧いた瞬間、色とりどりの紙が舞う演出が印象的でした。後の第35回で『わが身に起きたことは、すべて物語の種にございます。ひとたび物語になってしまえば、わが身に起きたことなど霧の彼方』という、まひろのセリフがあります。脚本を担当した大石静さんは、自分と紫式部を重ねているのだなと思いました」

 そして、1位は第10回「月夜の陰謀」でのラブシーン。まひろは道長からの駆け落ちの提案を断り、「都であなたのことを見続けます」と伝え、2人は結ばれる。

大河史上、一番なまめかしいシーンだったんじゃないかと思います。煌々と照らす満月の下で2人が結ばれました。ただ、初めての秘め事が廃屋というのも場所が……とは思いましたが(笑)」

 最終回ではまひろが「嵐が来るわ」と言い、武士の世が始まることをにおわせて幕を閉じた。

「物語は常に終わりがあるけれど人が生きている世の中は終わることがなく、ずっと続いていくことを感じさせましたね」

 多くの視聴者の心を動かし、「光る大河」であったことは間違いないだろう。