「可視化されなかったこと」にスポット

 栄えある1位は、

「毎週、待ち遠しかった」(山梨県・28歳)、「ミュージカルパートもハマった」(宮城県・60歳)

 2位と同じく宮藤官九郎脚本の『不適切にもほどがある!』。略して『ふてほど』は今年の流行語大賞にもなったほど。昭和と令和をタイムスリップする教師(阿部サダヲ)のハートフルコメディー。

昭和と令和という、2つの視点から“コンプライアンス”が描かれて、幅広い世代の共感を呼んだTBS系のドラマ『不適切にもほどがある!』
昭和と令和という、2つの視点から“コンプライアンス”が描かれて、幅広い世代の共感を呼んだTBS系のドラマ『不適切にもほどがある!』
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 ランキングを見た成田さんは、

宮藤官九郎脚本の作品が話題を集めた年だったと思います。ただクドカン脚本は推進力はあるけれど、ことジェンダーの問題となると描写が雑になるのが浮き彫りになってしまった感は否めないですね。

 そうした問題も含め『可視化されなかったこと』にスポットが当たったドラマが多かったように思います。出産と格差問題を描いた『燕は戻ってこない』、学びを通じて自身の可能性を見つめた『宙わたる教室』、自閉スペクトラム症の弟と暮らす『ライオンの隠れ家』、独身女性とシングルファーザーが同居する『西園寺さんは家事をしない』などが入ったのは、さまざまな境遇にある人たちの生活や心情が丁寧に描かれたから。いい物語は人の心を育てるもので、多様な人々が描かれるドラマはさらに増えると思います。

 そして昨年ドラマ化された『セクシー田中さん』の原作者・芦原妃名子さんの死が大きな影を落とした一年でもありました。原作をどう扱うのか、ドラマで何をどう描くのかについて話し合う重要度が増し、今後は、合議制のもと複数の脚本家が携わる『3000万』のような制作方法が増えるのではないでしょうか