「美術館」も構想
海外では、楳図さんの作品が翻訳出版されるなど“世界のウメズ”となっている。だが、自身の作品を、さらに多くの人に知ってほしいと考えていた。
「楳図さんは“自身の作品を守るだけではつまらない。発展させるために財団をつくるから、後は任せた。死んだ後は、その様子を見て楽しむから”と話していました。わかりやすく例えるなら、楳図さんの作品をハリウッドで映像化させるなどですね。今も近くで見られている気がしますから、頑張らないといけません(笑)。また財団の目的には《美術館の運営》も入っているのですが、本人としては“楳図美術館”をつくってほしいという思いも強く持たれていました」
美術館の候補地として真っ先に頭をよぎるのは、東京・吉祥寺にある、赤と白のボーダー柄の一軒家『まことちゃんハウス』の存在。いずれは、そこが美術館になるのか?
「『まことちゃんハウス』は、住宅兼財団の事務所として利用していくことが決まっていて、現時点では博物館や美術館にすることは考えていません。今は、私が毎日通って、そこで仕事をしています。それが楳図さんの希望でもあったので」
病気で入院する直前まで、創作活動を行っていた楳図さん。その未発表の新作が、まだ残されているという。
「'24年9月に石川県金沢市で開催した美術展では、『JAVA 洞窟の女王』という連作絵画の1枚だけを先行して展示しました。今後は残りの作品も見てもらう機会をつくりたいと思っています」
お別れの会の開催を検討しているが、具体的なことは何も決まっていないそう。
「'25年は、楳図さんの画業70周年という節目でもあるので、お祝いも兼ねて、みんなで盛り上がれる素敵な会にしたいと考えています」
財団には、お別れの会の開催を求める声が多数、届いているという。