西川 でも、結婚しなくても子どもは欲しいという方もいらっしゃいます。そういった考えもなかった?
宮崎 なかったんですよね。環境にもよると思います。私、宮崎県の出身なんですけど、地元では早く結婚して子どもがいて、というのが普通。でも東京だと独身を謳歌しているというか、ひとりを生き生きと楽しんでいる女性がいっぱいいるので、そんな中にいると寂しくないし、逆にすごく楽しくて(笑)。
それに、東京で子育てするとお金がすごくかかるじゃないですか。お受験とか、いろいろな塾に通わせたりしてお母さんのストレスになったり。その上、ママ友とトラブルになることも、なんて話が聞こえてきたり。なら自分で稼いだお金を好きに使えるほうがいいや、って。30代後半はそんな思考になっていました。
「奇跡以外に妊娠はあり得ないよね、と」
西川 そんなふうに考え出すと、少子化が進むわけだけど(笑)、再婚という道を選択されて。そこでやはり子どもが欲しいとなった?
宮崎 夫が私の10歳下なんですよ。出会ったときに私は40歳を超えていて、もう子どもができる可能性は少ないから、結婚は考えていませんでした。夫には2人で楽しく生きていくだけでいいし、子どもはいなくてもいいと言われていました。
西川 でも、妊活に取り組んだんですよね。
宮崎 そうなんです。再婚を決めたときが41歳。もうリミットをだいぶオーバーしていましたけど、ふと、1回目の結婚のときに子どもをつくるということをちゃんと考えなかったなと思って。
夫と年を重ねて60歳、70歳になったとき“子どもをつくっていたらどうだったろう”と後悔だけはしたくないよね、という話になったんです。
西川 なるほど。
宮崎 41歳だからダメかもしれないけれど、トライしてダメなら納得はいくだろう。でも、何もしないで“あのときに~”なんて思いたくないよね、とお互いに話したんです。
宮崎 でも、いざ病院に行って妊娠についてのデータや資料を見せてもらったら……。41歳での妊娠・出産って本当に少なくて。これは奇跡以外に妊娠はあり得ないよね、と思いましたが、まあ、とりあえずやってみようよという感じでスタートしました。
西川 宮崎さんのように、女性のほうが年上というケースは、ものすごく増えています。あと、'22年の体外受精のデータを見ると治療件数が過去最多の54万3630件。その中でもピークは、42歳の4万6095件でした。
宮崎 それって、保険適用になった年ですよね。
西川 そうです。保険適用が43歳未満というラインがあるので、駆け込みで保険が使えたからです。宮崎さんは保険を使えました?
宮崎 私は保険適用にギリギリで間に合いませんでした。