2位は『どうする家康』(2023年)で、40票獲得。脚本は古沢良太、主演は松本潤で話題を呼んだ。

1位は流行語も生み出した人気脚本家の実験的作品

 アンケートには、

「家康像と演技も見た目も離れすぎで、演出も寒くてついていけなかった」(大阪府・35歳・女性)

「数回見て興味を失った。内容が面白くないし、出演者も魅力がない」(福島県・58歳・男性)

松本潤の顔が濃すぎてアップに耐えられなかった」(富山県・57歳・女性)

 とのコメントが。

「これも歴史改変もの。背景をCGにしたことで、まずものすごい違和感があった。家康の側室が実は私は女性のほうが好きなんですというLGBTQ話があったり、現代的なエピソードが盛り込まれた大河ドラマだった。歴史的なドラマとして見ると、新しすぎたのかなという部分がありました」

 物語の構成もまた独特だった。

後から“実はこうでした”というシーンがすごく多かった。実はあの時こんなことを誰かがしてて、こういうことだったんですと遡る。脚本の古沢さんは『コンフィデンスマンJP』を書いていて、まさにその手法です。でもやっぱり大河は大きな川で、上流から下流に時代が流れていかないといけない。川が逆流すると面白みが失われるということが初めてわかりました

長男の勘太郎の運動会で『いだてん』の扮装で走った中村勘九郎(写真左)、阿部サダヲ主演のヒット作『不適切にもほどがある!』(TBS系)は『いだてん〜』から着想された
長男の勘太郎の運動会で『いだてん』の扮装で走った中村勘九郎(写真左)、阿部サダヲ主演のヒット作『不適切にもほどがある!』(TBS系)は『いだてん〜』から着想された
【写真】1位は人気脚本家の作品が…「途中で見るのをやめた」大河ドラマランキング

 1位は『いだてん ~東京オリムピック噺~』(2019年)で、59票獲得。脚本は宮藤官九郎で、中村勘九郎阿部サダヲがW主演を務めた。

「時代をまたぐドラマで話についていくのが面倒になった」(東京都・59歳・男性)

「ノリが軽すぎで大河を見てる感じがしなかった」(兵庫県・57歳・女性)

「見たい年代というものがある。近代は興味が湧かない」(兵庫県・66歳・男性)

「オリンピックに便乗して視聴率稼ぎをもくろんだだけ。視聴者を愚弄してる。このような愚作のために貴重な受信料を注ぎ込むのは許せない」(京都府・38歳・女性)

 と、コメントも辛口だ。

クドカンドラマのあるあるで、まず冒頭で入り込めないとずっと入れない。マラソンと東京オリンピック、時代をまたいで2つの物語が進行し、主人公が途中で変わるリレー方式というイレギュラーな形が、やはりとっつきにくかった。女子体育の成り立ちやスポーツから見る近代史など、テーマ的には非常に興味深いものだったけど

 平均視聴率は大河ドラマ史上初の1桁となり、歴代ワースト記録に輝いた。

あまりに視聴率が低くて、裏番組のテレ朝『ポツンと一軒家』が20%取ったという話も。三大がっかり要素のうち、主人公が有名人じゃないと大河らしさがないに当てはまった。大河って近代が舞台だと難しいといわれるけれど、まさにそれが表れた

「途中で見るのをやめた」大河ドラマランキング
「途中で見るのをやめた」大河ドラマランキング

 離脱のきっかけになるという大河の三大がっかり要素。それは新大河『べらぼう~』にも当てはまる。主人公の蔦屋重三郎は江戸時代の浮世絵版元で、今でいう出版人だというが。

「まず主人公が有名人ではない。さらに合戦がないと、大河ではかなりのマイナスポイントになる。NHK自身が蔦屋重三郎のことを“江戸のメディア王”“トップカルチャーの礎”と表現したりと、カタカナを使って若い層に訴えていて、そこですでにヤバい空気がぷんぷんしてる」

 新大河は視聴者の心をつかむことができるのか─。

取材・文/小野寺悦子

カトリーヌあやこ 漫画家&テレビウォッチャー。著書にフィギュアスケートルポ漫画『フィギュアおばかさん』(新書館)など