今の仕事は「心のエステ」ちょっとすっきりする方が増えたら

 子どもが小さいうちはセーブしていたが、手が離れてくると音楽宣教師の活動を本格再開。幼稚園の保護者礼拝で“聖書に出てくるおいしいもの”について話したことがきっかけで、聖書のエッセンスを楽しく学ぶ「バイブルカフェ」を始めたり。学びをより深めるためにカーネル神学校に入学したり。さらにゴスペル音楽院(現・ワーシップ!ジャパン)ではクラスを持ち、学生たちを指導する立場に。そして歌のほうでも現在までに久米小百合名義のアルバムを4作発表している。

 久米さんにとって、音楽宣教師として喜びを感じるのはどんな瞬間なのだろうか。

「久保田早紀の時代は、コンサートに来てくださるのは私のファンの方々だったんですけど、今は私のことを知らずに来てくださる方も多いんですね。それで帰りがけに“悩みがあったけど心の荷が下りたよ”と声をかけてくださることもあって。すごくありがたくて、うれしいんです。私は、このお仕事って心のエステだと思っていて。モヤモヤしていたけど、ちょっとスッキリしたなという方が増えたらいいなと思って、続けているんです」(久米さん)

 心が軽くなる久米さんの歌。その秘密を、大作さんが音楽家の視点でひもといてくれた。

「中域から高音にかけてビブラートの少ない歌声が魅力。と言うと堅苦しいですが、歌が暑苦しくならない声なんです。さらに、ドライな質感なので押しつけがましく聴こえない。そういう意味では音楽宣教師として稀有な存在かもしれませんね」

 現在、66歳の久米さん。これからの彼女へ向けてのメッセージを遠藤さんにお願いすると、「そのままの先生でいてください!」と即答。

「お願いするまでもなく、先生は変わらないと思いますが(笑)。優しくて気を使ってくださる、みんなの憧れ。『少しでもみなさんの心が晴れやかになったらいいね』と、よく先生と話すんですが、そのお手伝いを今後もできたらと思っています」

 今年で結婚40年を迎えるご主人の大作さんからは、

「あっという間で、“あれ?こんなにたってた”という40年でした。仕事面では、今まで関わってきたことをまとめていく時期にきていると思います。その力も十分備わってきているような気がしますので。応援します」

 という言葉が届いた。そして最後は「いざ質問されるとなかなか言葉が出ないので、“クラスメート夫婦”としては、お互いの休み時間に伝えます」と、ユーモラスな一文が。仲の良さが伝わってほっこりしてしまう。

 そして久米さん自身は、「この先も今の活動をずっと続けていければありがたい」と語りつつ、

「キリスト教が日本の文化に貢献してきた分野のことを、学校などであまり習わないんですね。歌謡曲や小学唱歌にも、賛美歌がルーツのものが多いんですが、知らない方も多くて。なので、そんなお話も伝えていけたらなと思っています」(久米さん)

 神様にナビゲートしてもらいながら進んできた半生。この先も、その道には温かな光が降り注ぎ続けるだろう。

<取材・文/今井ひとみ>

いまい・ひとみ ライター。エンタメ誌編集部、『週刊女性』編集部を経てフリーに。多くの著名人の取材、人物ルポをこなす。