埼玉県は「ポスターを制作し、広く広報」、そして県民から希望があればポスター送付の対応を行っているという。

 神奈川県はポスター380枚を作成し、「県保健福祉事務所や県政総合センター等の県施設をはじめ、県内市町村や協力企業・団体、病院等に掲出を依頼しました」と回答。また、横浜市はポスター225枚を区役所・薬局・市内大学に配布したという。

 また、神奈川県や横浜市では、動画を制作しSNSやデジタルサイネージ等で配信するなど、独自の受動喫煙防止キャンペーンを併せて実施しているという回答があった。とりわけ横浜市では、喫煙所利用者の位置情報を活用して喫煙者のスマホにピンポイントで広告配信、路上喫煙者の多い場所でのパトロール実施や看板の掲示、屋内禁煙など健康増進法に違反する店舗への指導、街頭キャンペーンや禁煙支援などを行っている。いっぽう「本県ではポスター掲出以外実施してはいません」(千葉県)など、自治体によって活動の温度感には大きな差異があるように感じられた。

 また、キャンペーン期間中に情報交換をすることもあるそうだが、内容については回答が得られなかった。情報交換はしていると言いつつも、それぞれ他の自治体の活動状況について把握しているということもないことがうかがえる。この活動の大半はポスター掲示が主であり、その他の目立った活動を行っていないというのが現状のようだ。

受動喫煙防止キャンペーンの現在の意義は?

行列ができる秋葉原駅前の公共喫煙所。都市部のスモーカーはマナー良く喫煙所で吸う習慣ができつつあり、受動喫煙は減っているはずーー
行列ができる秋葉原駅前の公共喫煙所。都市部のスモーカーはマナー良く喫煙所で吸う習慣ができつつあり、受動喫煙は減っているはずーー
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 九都県市受動喫煙防止キャンペーンについて行政から得た情報をまとめると以下のようになる。

・平成21年から開始(相模原市は平成22年から参加)
・がん征圧月間である9月から、11月の間までに行う
・主に共通デザインのポスターの制作・掲示、配布などを行っている
・九都県市共通のロゴマークを各自治体の取り組みに使用している
(共通の活動である意義は薄い)

 さて、ここで疑問が湧いてくる。もちろん受動喫煙は防止すべきものだが、2020年から改正健康増進法が施行され、飲食店などお店を含む公共の屋内では、ほぼ喫煙できない状態になっている(改正健康増進法のポイントはこちら)。つまり、受動喫煙の機会というものが、日常からかなり姿を消している現在でも、このキャンペーンを続ける意味はあるのだろうか?

 後編では九都県市受動喫煙防止キャンペーンがそもそも起こった背景や、この九都県市になった座組について、そして気になる効果測定の方法などについても聞いていく。

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<取材・文/白石優>