佳子さまのお気持ち
東日本大震災当時、栃木県にある那須御用邸の職員宿舎の温泉風呂が、同県に避難した被災者たちに提供されたが、佳子さまは、紀子さまや眞子さんと一緒にタオルをポリ袋に詰める作業をした経験がある。また、昨年末の30歳の誕生日に際して、宮内庁皇嗣職は次のような佳子さまの気持ちを発表した。
《この1年を通して各地で災害が起き、内親王殿下は、亡くなられた方々をお悼みになるとともに、被災された方々を心配なさり、被災された方々が安心して暮らせるようになることを心から願っていらっしゃいます。そして、災害時を含め、社会のために力を注いでいらっしゃる方々に、同じ社会に生きる一人として、敬意と感謝の気持ちをお持ちでいらっしゃいます。この1年のご活動や日々の生活の中で、また、様々な媒体を通して、そのようにお感じになることが多くあったと伺っています。
内親王殿下は、これまでと同様に、誰もが安心して暮らせる社会になることを、誰もがより幅広い選択肢を持てる社会になることを、そしてこれらがあたりまえの社会になることを願っておられ、ご活動の際にも、この思いを胸に取り組まれています》
「国民と苦楽を共にしながら、国民の幸せを願う」ことは、天皇陛下の偽りのない心でもある。新しい時代に合わせた共助の形や命を守る社会の構築へ向け、佳子さまもまた努力を続けることだろう。
<文/江森敬治>
えもり・けいじ 1956年生まれ。1980年、毎日新聞社に入社。社会部宮内庁担当記者、編集委員などを経て退社後、現在はジャーナリスト。著書に『秋篠宮』(小学館)、『美智子さまの気品』(主婦と生活社)など