前回からの振り返りになるが、東京都においての受動喫煙防止キャンペーンの予算は100万円ほどで、今年度実際に使用したのは60万円ほどだという。他の自治体では10万円以下の予算のところもあり、それと比べると破格である。ポスターの制作、配布においては少々贅沢で、果たして有効な使われ方なのかという思いもよぎってくるーー。

「形骸化」したキャンペーンは本当に必要なのか

都市部では「喫煙は喫煙所で」が常識になりつつあり、路上喫煙を見るケースは稀に
都市部では「喫煙は喫煙所で」が常識になりつつあり、路上喫煙を見るケースは稀に
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 もちろん受動喫煙の防止や健康増進の推進自体は素晴らしいものだ。ただし、この「九都県市受動喫煙防止キャンペーン」のように、健康増進や病気予防といった啓発を目的としたキャンペーンにはそもそも効果の測定が難しいものが多い。そのため、税金の使い道として評価できるものであるかどうかは、判定しづらいところがあるのは事実だ。

 2020年に施行された改正健康増進法によれば、飲食店などのお店を含む公共の屋内での喫煙はほぼ「できない」状態になっており、それに伴って受動喫煙をする機会もかなり減ってきている(改正健康増進法のポイントはこちら)。そんな中で、15年にもわたる当キャンペーンのような活動は、端的に言えば役目を終えてきており、そろそろその意義も形骸化しつつあるのではないだろうか? 

 続けることに意義があるという見方もあるが、今、本当に必要な政策はなにか。継続して行っていることに関してはなおさら、税金の使い道について有権者にも広く知ってもらい理解・判断をしてもらうことも必要である。