活かされなかった橋本の“持ち味”
不調の原因は“ギャル”だけではない。ベテラン映画記者はこう語る。
「“ドラマだから”と言われればそれまでですが、あまりに現実味がなく、意味不明のシーンが多い。数え上げたらきりがないですが、ツッコミどころも多いです。制作陣の思い違いと言いましょうか、“これは絶対受ける”と考えて作った脚本が視聴者にまったくハマっていないということです。
世間と感覚がズレていることに加えて、人物の描き方が単純すぎて、脚本の“練り感”が感じられない。後半、主人公の父親が人間ドックの結果を見てガンかもしれないと悩むシーンや、主人公の母親に不倫疑惑が持ち上がるシーンなどは、これまでもいろんなドラマで見られた展開です。朝ドラには必要ないですね」
NHKの朝ドラといえば、視聴者の反応を見ながら脚本が手直しされていく、という話をよく聞くが、
「最近の朝ドラは脚本家が一人ではないことが多く、全員で協議しながら進めていくようです。『おむすび』もそうしていると思いますが、あまりその雰囲気は感じられないですね。それどころか“ダイジェスト感”と言いましょうか、話を端折っている感じが強く、時間が経つのが早すぎるのと、主人公が直面する困難が解決するのも早くて記憶に残らない。
そもそも、病院勤務の管理栄養士にそんなに多くの頻度で“危機”が訪れることはないと思いますし、困難自体も“そんなことある?”みたいなことばかり。さらに、次から次に降りかかるトラブルで、橋本さんはいつも暗い表情。“明るさ”という彼女の持ち味が活かされる場面が少なく、ファンもガッカリなのでは」(前出・テレビ誌ライター)
さらに、2週間に渡って主人公が回想シーンでしか登場しない、という朝ドラ史上例のない事態も起き、これには驚いた人も多い。民放でドラマ制作にあたるプロデューサーは、これをどう見るか聞いてみると、
「スケジュールがタイトな橋本さんに撮影予定を合わせるしかなかったのでしょうが、もう少しましなやり方があったのではないかと思います。これは、視聴者をないがしろにしていると取られても仕方がない。主人公不在の間に頑張ってくれた仲里依紗さんの評価が上がり、数字が少しばかりでも上がったのは皮肉ですけど(笑)」