それならばと、ネットで情報収集をしようと試みるも、予想外の事実を突きつけられる。

タワマンの理事会に関する情報というものが、インターネット上には全然なかったんですね。だったら、発信すれば情報も集まるかもしれないという期待も込めて、理事長職の記録を残そうと、ブログを始めることにしました」

 理事長に就任したその日から、竹中さんのもとには、マンション内のあらゆるトラブルや相談が持ち込まれるようになる。

 ちょうど世間はコロナ禍の真っただ中。マンションにも行政からの指導が入り、共用施設のスパの使用を中止することに。ところが、これに一部の住人が猛反発したのだ。

タワマン内では、感染予防の観点から閉鎖すべきという意見と、管理費を払っているのだから使わせろという意見の真っ二つに割れました。どちらの言い分もわかるだけに、板挟み状態でした」

 自分は医師だという住人から「コロナなんてただの風邪レベル。過剰な対応を取るべきではない」という匿名の手紙が届いたこともあった。

 最終的に、緊急事態宣言が解除されるまで共用施設は使用中止にしたものの、反対住人の声は、最後まで途切れることはなかったという。

住人同士の騒音トラブルの顛末は

 もちろん平時であっても住人トラブルは発生する。その代表格が騒音トラブルだ。

住人トラブルに巻き込まれ……(写真はイメージです)
住人トラブルに巻き込まれ……(写真はイメージです)
【写真】突然、タワマンの管理組合理事長になってしまった元電通マン

「住人の方から『掃除機をかけると、隣人が壁を叩(たた)いてくるので、なんとかしてください』と相談が来ました。極力音の出ない静かな掃除機に買い替えても、まだ壁を叩かれるというんです。

 ただ、管理組合は住人同士のトラブルの間に入ることができません。なんとか双方で解決してもらえるよう促したのですが、叩かれていたほうの住人が退去するという残念な結果に」