新しいドラマの楽しみ方
また、話の後半では、「40数年前に父親が栄吉から借りたお金を返しに来た」という人物が登場する。大鶴義丹が演じるその人物は、岐阜から福岡までやって来るのだが、通夜のその日まで父親の借金について知らず、父親の遺品を整理していたら借用書が出てきたという。
温かい目で見るなら、偶然借用書を発見し、連絡したら貸した本人が亡くなっていて、今日通夜だと聞いたからやってきた、ということだろうが、これも強引すぎる。しかし……。
「この展開に呆れていたら『おむすびウォッチャー』はやっていられません。これが『おむすび』の醍醐味なんです。いま『おむすびウォッチャー』の間では、ツッコミを入れることに加え、次回の展開を予想するのが流行っていて、SNSでもそんな書き込みが増えています。まあ、結局は予想通りの展開になっているんですが、“最終回はこうなる”というトピックで盛り上がっていますね」(前出・テレビ誌ライター)
『おむすび』の時代設定は、主人公・結が高校に入学した2004年(平成16年)から始まる。管理栄養士となって4年目を迎えた2018年(平成30年)には病院に勤務し、永吉が亡くなったのは2019年(平成31年)。その年9月に『令和』に改元。
作中ではその間、国内で起きた災害や開催された行事が描かれている。この先、“コロナ”と“東京オリンピック”も描かれることが予想されており、結が栄養士として関わっていくと見られている。
『#反省会』が立ち上がった朝ドラと言えば『ちむどんどん』(2022年前期放送)が最初だが、『おむすび』は間違いなく同作品を超えた。この先も、『#反省会』が立ち上がる朝ドラが出てくると思われるが、
「反省会を立ち上げて、ツッコミを入れる」
「ドラマの展開予想を競い合って盛り上がる」
『おむすび』は、そんな新しいドラマの楽しみ方を確立させたのかもしれない。最終回はどんなエンディングとなるか――。いずれにせよ、忘れられない作品となったのは間違いない。