もはや、沈むしかないのか……。朝ドラ『おむすび』の第21週(2月24日~28日)の週間平均視聴率が、12%という数字を記録してしまった。これまでの最低平均世帯視聴率のレコードホルダーは、2009年後期の『ウェルかめ』で13・5%。この記録を塗り替えてしまう可能性も出てきた。
思い返せば放送前、今をときめく人気女優となった橋本環奈(26)がヒロインを務めるということで、視聴者の期待がふくらんでいたのも今は昔─。
「ツッコミどころしかない脚本で、物語が破綻しまくっていますよね」
と、ドラマウォッチャーのくのいちこさんは『おむすび』の人気低下の原因をこう語る。
「何にしても、内容が面白くない」
「社会人経験のない学生さんでも、もうちょっとマシな脚本を書くんじゃないですか? なんだか、行き当たりばったりで書いた物語を見せられているという感じがありました」
放送期間中に、橋本のハラスメント疑惑など、ネガティブな報道もあったが、
「確かにそういうニュースも流れましたけど、意外と影響していない気がします。もし橋本さんに原因があるとするなら、彼女の忙しさのほうが問題なんじゃないですか。
もしかしたら、もっとちゃんとしたストーリーだったのに、彼女のスケジュールの関係でいろいろと変更、調整しているうちに収拾がつかなくなっちゃったとか(笑)。何にしても、内容が面白くない、これに尽きると思います」(くのいちこさん、以下同)
くのいちこさんの言葉どおり、「育児と勉強に集中してもらい」と語りで説明し、ヒロイン不在で周囲のキャラたちのサイドストーリーが展開された週もあった。3月28日に最終回を迎える『おむすび』だが視聴者の関心は早くも、31日から始まる次の朝ドラ『あんぱん』に移っているようだ。『あんぱん』の登場人物相関図が公開されると、
《この豪華キャストに期待しかない》
など、SNSでは放送開始を待ちわびる声が。
「中園ミホさんの脚本で、物語のモデルがいる。そして最近の東京制作の朝ドラとしては『ちむどんどん』で底を打ったように(笑)、『らんまん』『虎に翼』とクオリティーの高いドラマが続いています。私は最近、本当に『おむすび』にはついていけなくなって脱落してしまったのですが、東京制作の『あんぱん』には期待しています」
『あんぱん』は漫画家のやなせたかしさん夫婦の物語をベースにした作品。今田美桜(28)がヒロインとして、北村匠海(27)演じる夫を支えていく。漫画家がモデルといえば2010年前半に放送された『ゲゲゲの女房』。この作品は、朝ドラ人気をV字回復させたといわれている名作だ。
「フィクションとして制作するとはいえ、やなせさんのように戦争も体験されていたり、人生経験に幅がある人をモデルにしている作品だと、視聴者も感情移入しやすいと思います。私としては『あんぱん』が名作になる予感があります」
視聴者からそっぽを向かれてしまった感がある『おむすび』。最終回までに伏線の回収などで“神回”はあるのか? 不人気な『おむすび』からバトンを渡される『あんぱん』だが、いつものバトンタッチ以上に、プレッシャーがかかっているのかも。
取材・文/蒔田稔