「私に何かできることがあれば」という姿勢

「吉永さんは原爆詩の朗読をしたCDや詩画集を発売しているのですが、その挿絵を、ジブリ作品で美術監督をしている男鹿和雄さんが描いています。'08年に当館で男鹿さんの展示会を開催することになり、吉永さんはそのとき初めて来館してくださいました。それを機に当館へ足を運んでくださるようになって、吉永さんから“どうしたら第五福竜丸事件を知ってもらえるかしら”と言っていただき、交流が始まりました」(安田さん、以下同)

 吉永は、静岡県焼津市や三重県津市などでも、第五福竜丸事件に関する原爆詩を読むチャリティーイベントを開催してきた。

吉永小百合が『第五福竜丸展示館』に贈った花は、今も同館に飾られている
吉永小百合が『第五福竜丸展示館』に贈った花は、今も同館に飾られている
【独占写真】夫が亡くなった日も映画撮影を行なっていた吉永小百合ほか

「原爆詩の朗読も、40年近く続けている中で、当館のことを気にかけてくださるなど、本当に“私に何かできることがあれば”という姿勢です。けれど、それが当たり前なことのように、ごく自然に行っているんですよ。

 今年1月にも、原爆が投下された広島や長崎などをテーマに絵を描いている画家の展覧会を見に来られました。飾らない服装で、さりげなく鑑賞されていたことから、周囲の来館者は誰も吉永さんに気がつかなくて。今夏にも原爆詩の朗読会を開催する予定です」

 3月13日で80歳となる国民的女優は、同じ悲劇を繰り返さないため、平和の大切さを広め続ける─。