医師と話し合った結果、両目同時に手術を行うことが決まり、運転のために遠くがよく見えるレンズが選ばれた。
ローラーコースターに乗っている気分に
「それでも怖かったので全身麻酔を希望したのですが、点眼麻酔で絶対に大丈夫だからと念を押されました(笑)。手術中、先生の手が見えた後は真っ白な強い光がずっと当たっていて。その中に3つの黒い点が現れてそこをじっと見るように言われるんです。その点が時々左右にぐわっと曲がり、まるでローラーコースターに乗っている気分になりましたが、手術は予定どおり30分で終わりました」
術後は痛みも痒みもなく、歩いて帰宅できた。しかし不安を感じる瞬間もあったという。
「ややぼけやた状態ですが、術後すぐでも目は見えました。でもまだレンズがピタッとハマらず異物感があり、めまいがすることはありましたね。平衡感覚がなくなる瞬間もあって、立ち止まりながらゆっくり歩いて帰りました。
光が眩しく疲れるので、仮眠をとってから夕方に外に出てみたんです。すると街灯から車のランプまであらゆる光が何重にも連なって大きな輪っかが見えるんですよ! はっきり見えるけど、すべてが眩しく輝いて見える異様な世界で、なんだこれは!?と。もしずっとこのままだったら……と恐ろしくなりました」
しかし翌朝には目の調子も戻り、経過は順調だ。術後1週間は目の保護のため洗髪をしない、1か月はサウナや海水浴を控えるほか、眩しいものを見ないようにサングラスをする、目にホコリが入らないように眼鏡をかけるなどの注意が必要だが、現在は1日4回の点眼以外は、普段どおりの生活を送れている。
「翌朝には植物の色から空まで全部がはっきり見えて、子どものようにぼーっと周りを見渡して、感動しましたね。もう一生、満天の星を見られないと思っていたので、また新たな人生がスタートした気分。
手術から4日後と1週間後に検診に行きましたが、経過は順調です。目が疲れやすかったり、手元を見るときはやや不安定ですが、まだ2週間しかたっていないですから。すべてが順応するには1か月ほどかかると言われているので、今はしばらく様子を見ています」