フリーテレビプロデューサーの鎮目博道氏に、調査結果の印象を聞いた。
「詳細に調査が行われており、あれがテレビ局の“リアルな姿”だと思いました。一方で、今回の大きな問題は、トラブルを把握しながら何事もなかったかのように中居さんの番組を継続して、上層部で問題を握りつぶしたこと。しかし、なぜそうなったのかは調査報告書では明確に解明されていませんでした」
そのうえで、次のように指摘する。
「フジテレビの番組は、大きい事務所や力の強いタレントに依存しており、彼らの機嫌を取るためなら何でもするという体質に踏み込まなければ、再発防止は難しいのではないでしょうか」(鎮目氏)
フジ再興の命運を握る“新戦略”
一連の問題で80社近いスポンサーが撤退している。調査結果が公表され、その動向にも注目が集まっているが、
「現状、まだ再開の見通しは立っていません。今後の対応や再発防止策などを鑑みて慎重に判断するといい、少なくとも秋ごろまでは本格的なCM再開は難しいと見られています」(広告代理店関係者)
依然としてスポンサー離れの影響を受け続けるフジテレビ。再興の命運を握る新戦略も動き出しているという。
「フジテレビの動画配信サービス『FOD』で、新たに縦型ショートドラマを制作するそうです。主に中国で人気が拡大し、世界で急速に市場規模が大きくなっています。安定した会員数を誇るFODで急成長中のコンテンツを取り入れて、新たな収入源を確保したいのではないでしょうか」(フジテレビ関係者)
しかし、前出の鎮目氏によると、
「それがうまくいっても、スポンサーの代わりになるというわけではない」
という。どういうことか。
「FODは、若いクリエイターが実験や挑戦の場として、新しいことをたくさんやっています。そうしたチャレンジングな姿勢が、安定した人気につながっています。ただ、世界で成長し続けている『Netflix』と違って、主なターゲットは日本だけ。視聴者数のパイが少ないので、収入額にも限界があるんです」(鎮目氏、以下同)