評価される朝ドラの共通点

 黒柳朝さんの自伝エッセイ『チョッちゃんが行くわよ』をもとにした同作の主人公は、北海道・滝川に生まれ、大自然の中で自由に天真爛漫に育つ。音楽家を目指して上京した彼女は、天才バイオリニストの岩崎要(世良公則)と出会って結婚し、2児の母に。

 戦争などさまざまな困難が訪れても明るく乗り越えながら成長していく様子が描かれていく。理想の朝ドラといわれるゆえんを、前出の朝ドラウォッチャーが解説する。

「周囲のキャラクターも魅力的なのが神ドラ。夫となる世良さん演じる音楽家や、その親友役の春風亭小朝さんとの掛け合いが面白い。ヒロインの母親役の由紀さおりさんの大らかさや、東北訛りの西田敏行さんのナレーションも優しく温かい。

 特に由紀さん演じる母親と同じく、チョッちゃん自身もその後、娘となる徹子さんの良さを伸ばしてあげた母親として有名。褒めて伸ばす子育ての参考にもなるんですよね」

 また、ヒロインを演じる古村比呂についても、

「太陽みたいな明るさで大きな瞳をくるくる動かす表情が、『あんぱん』の今田美桜さんにも通じると思います。本来、朝ドラの鉄則はヒロインが明るいこと。前作の『おむすび』はスタート時の暗さでつまずいたと思いますし、『おかえりモネ』などは全編通してヒロインが暗かった。朝から憂鬱な表情を見たいと思う視聴者はいない。現代を描いた作品はヒットしづらいといわれる中、『あまちゃん』も能年玲奈(現・のん)さんの持つ明るさや脚本の面白さで人気になりました」

 陽気なヒロインに、演技派で固められた周囲の登場人物。“理想の朝ドラ”、『チョッちゃん』を見逃せない。