変化していく昨今のオーディション

 放送局や時間帯で視聴者層が違うのは当然だが、昨今のオーディションはそれを見越しているという。

「例えばタイプロはNetflix独占でした。これはそもそもお金を払わないなら見るな、という強気な姿勢ですが、多くの視聴者を惹きつけ、今でもその話題性を維持しています。菊池風磨やトレーナーなどが候補者に対して強気な姿勢で接し、推しの候補者が怒られている場面で胸が締めつけられた視聴者も多い。タイプロはいわば昔のスポ根風オーディションでした」

女性からの評価が高いHANA。ルッキズムにNOをつきつける起爆剤となりそう
女性からの評価が高いHANA。ルッキズムにNOをつきつける起爆剤となりそう
【画像】昭和~令和まで「オーディション番組」の歴史年表

 一方で新しいコンセプトを生み出したのが、ちゃんみなプロデュースの『ノノガ』だ。

「これまでルックスなど不条理な理由でNOを突きつけられてきた女の子たちを救済するという意味を持つプロジェクトだったので、優しい世界が展開されていましたね。候補者に自分を重ねる視聴者が多いのはもちろん、ちゃんみな自身が才能がありながらもNOを突きつけられてきた女性なので、候補者への声かけが優しい。とても令和的だなと思いました。デビューしたHANAの面々が自然な体形で堂々としているのも今の時代という感じで好感が持てる。ガリガリに痩せたりしないで、と一視聴者として願っています」

 時代とともに変化していくオーディション番組の形。家族みんなで一台のテレビを共有していた昭和とは、大きく事情が異なるようだ。