「腸活やダイエットなど、さまざまな健康効果で知られるこんにゃくですが、近年大腸がんや認知症の予防、血糖値の抑制といった驚くべき結果も出ています」
と、群馬大学でこんにゃくの研究を行っている鳥居征司教授。
生活習慣病の予防にも期待大!
「こんにゃくに豊富に含まれる、グルコマンナンやセラミドといった成分が効果を発揮すると考えられています。グルコマンナンは、こんにゃくの主成分である食物繊維。体内で消化されず食物を巻き込み、物理的に腸を刺激して、排便を促します。
また、腸内細菌の善玉菌を増加させると同時に、有害物質を生み出して腸の免疫力を低下させる悪玉菌の発生を抑制。これにより大腸がん予防の効果が期待できます」(鳥居教授、以下同)
グルコマンナンにはがんの生着率を抑える効果も。
「腸内に善玉菌が増えると免疫機能の活性化が期待できることに加え、グルコマンナンの中のマンノースという糖が、がん予防に有効なことを示す研究が進んできています。
さらには、グルコマンナンは腸内で消化吸収の速度を遅らせるため、食事による糖質の吸収もゆるやかにして血糖値の急上昇を抑えてくれます。これにより、脂肪の蓄積を抑えることが期待できるのです」
最新研究が進んでいるのが“こんにゃくセラミド”。

「セラミドは美肌に導く成分としてよく知られていますが、こんにゃくに含まれるこんにゃくセラミドは、アルツハイマー型認知症を引き起こす原因の一つである、アミロイドβ(ベータ)の蓄積を抑える働きが報告されています。
アミロイドβは加齢とともに脳から排出されにくくたまりやすくなるため、中高年世代、特に50歳前後の人には、こんにゃくを食べることをおすすめしています」
こんにゃくからセラミドをたくさんとるには、こんにゃく粉が原料のものではなく、セラミドが高濃度で含まれるこんにゃく芋を原料としたものを選ぶのがポイントだ。
「ただし、食べすぎは逆効果。こんにゃくに栄養はありませんし、こんにゃくでお腹がふくらんで、他の食品が食べられなくなると必要な栄養素もとれなくなってしまいます。目安は、1日のどこかの食事に取り入れる程度。
これだけで血糖や血中脂質の異常といった肥満や老化、生活習慣病につながる原因を抑えることができるはず。ぜひ普段の食生活に意識的に取り入れてみてください」