今回は「強要はなかった」との説明だが、となると冒頭のフジテレビ報道に“矛盾”が生じる。現場に居合わせた撮影者のインタビューによると、
《男性が怒って、怒鳴っていて、警備員さんに。それで“土下座しろ”的な大きな声を発して、(撮影を始めたら)警備員さんが土下座をしたという状況ですね。(2人の間に)何があったかっていうのは確証がないんで言えないんですけど、“土下座しろ”っていう大きい声が聞こえて、そのまま警備員さんが土下座したって感じです》
さらに横にいたもう1人の警備員が、“同僚”が土下座する様子を目の当たりにして、仲裁に入るわけでもなく、《これがカスハラなんだな》と話していたことも“証言”している。
「土下座なんか…」要求ではない?
男性が「土下座しろ」と警備員に強要したとする、撮影者の話が事実ならば「強要罪」の成立も判断される状況。万博側が明かした“事実”とは異なるが、全国紙社会部記者は騒動を次のように見る。
「万博としては、“強要はなかった”との見解が事実だとしても、入場者による“カスハラ”でイメージを損ねたくない、事を荒立てたくないのが本音だと思います。実際、デジタルサイネージへの案内は適切だったとしつつも、警備員による自主的な土下座は“適切かどうかは判断していない”と、どこか誤魔化しているようにも聞こえます」
一方で、動画を取り上げたフジテレビ報道にも問題があるとする。現在もFNNプライムオンラインでは、“土下座”動画が配信され続けているのだが、
「警備員が土下座をした直後に、テロップでも《土下座なんか…》と途切れた、後半部分の音声が聞き取りにくい会話が入り込んでいますが、男性は大声で“土下座なんかせいなんて言ったかよ”と話しているようにも聞こえます。
もちろん撮影者の証言通り、動画を撮る前には“土下座しろ”と言っていたのかもしれませんし、はたまた聞き間違いや記憶違いの可能性も否定できません。フジテレビ報道は、事前に協会側に事実確認をした上だったのか、“裏どり”ができていたのかは気になります」(前出・記者)
見る人が見れば人物を特定されかねない動画だけに、特に今なお多大な影響力を持つテレビ局には慎重な報道姿勢が求められそうだ。