モデルから女優に転身した理由とは

 もともとモデル出身。’07年にティーン誌『ピチレモン』でデビュー。’11年に雑誌を卒業すると、モデルとしてやっていくには身長が足りないから、という安易な理由で女優を目指した。しかし、現実は甘くなかった。

「高校を卒業したときに女優1本でやっていこうと決めたのに、まったく仕事がなかったんです。そのうちに東京にいる理由もわかんないし、自分は何をしたいんだろうと思うようになって。愛知の実家に帰ろうかなと、本気で悩んだ時期がありました」

 転機になったのは、’14年に公開された園子温監督による映画『TOKYO TRIBE』。オーディションに1度は落ちるも、アクション審査での動きが決め手となり、ヒロイン役を獲得した。しかし、そこでは大きな決断が迫られた。それは"脱ぐ"演技─。

「実は、この役が決まる直前まで、私は絶対脱がないと思う、と女優の仲間たちに言っていたんです。だけど、状況的に考えたら、これはチャンスだと思い直して。高い壁だっただけに両親にも相談してから決意しました。それを乗り越えたことで、改めて女優としてやっていく気持ちが固まりましたね」

 『東京無国籍少女』の主演も、『TOKYO TRIBE』を見ていたプロデューサーから声がかかり、押井監督と顔合わせをして決定した。近ごろはテレビドラマでの活躍も目覚ましい。特に今年に入ってからは、TBS系の『ウロボロス』で話のカギを握る重要な役や、テレビ東京の『LOVE理論』ではヒロイン役に抜擢されるなど、順調にキャリアを積み上げている。

 現在の状況を本人はどう受け止めているのだろうか。

「演技を筆頭にすべてがまだまだと感じますね。緊張もするし、不安なこともいっぱいあるので。役へ踏み出す勇気がなかなか出ないのは今も同じだけど、逃げだすことなく取り組めるようになりました。以前は自分の作品を見るのが嫌だったんですね。だけど最近は演技することにも少し慣れてきて、楽しいと思えるようにもなってきました。続けてきてよかったなと思います」

 ちなみに多忙なスケジュールを支える元気の源を聞くと、ズバリ"肉"という答えが。

「鶏、豚、牛、馬、全部好き! 以前は、毎日焼き肉という週がありました。レバ刺しもたまらないですね(笑い)。でも、オシャレな料理名を言えないところが、まだまだ子どもなんだよな~」

 そう言って屈託なく笑う姿はあどけない。その一方で、大人の味も覚えたと、いたずらっぽい笑みを浮かべる。

「ようやく飲める年齢になったので、お酒の方面も開花しています(笑い)。特に『ウロボロス』で共演した小栗旬さんたちとは仲がよくて。今でもみんなでごはんに行くんですよ。ちょうど2日前には、吉田羊さんとふたりで飲みました。そば焼酎のソーダ割りがおいしかったです(笑い)」

 映画を見ることも好きで、劇場へ行くこともしばしば。家でピザを食べながらDVDを楽しむこともあるそう。オフの日には高校生のころから始めたアコースティックギターで、大好きなジャスティン・ビーバーの曲を弾き語りする一面も。憧れの人は、映画『バイオハザード』シリーズで主役を演じている米女優のミラ・ジョヴォヴィッチ。

「彼女の影響でアクションを始めたので、いつか共演するのが夢なんです! そのためにも、留学して英語をしゃべれるようになりたいな。とはいえ、今はいろんなキャラクターに挑戦して、しっかり演技を学んでいきたいですね」

 そう言って見せた笑顔は、まぶしい輝きに満ちていた―。

20150804 seino eiga
清野菜名の初主演映画『東京無国籍少女』、校内をフラフラと歩く藍に視線を送る教師と同級生たち。事故がきっかけで心身に傷を負った藍(清野菜名)は〝何かがおかしい〟と違和感を覚えながら学園生活を送っている。その謎が明らかになる衝撃的なラスト15分は必見! 押井監督が描く展開と清野菜名の活躍をお楽しみに。7月25日(土)より新宿バルト9ほか全国ロードショー© 2015東映ビデオ