‘86年のテレビシリーズスタートから30年を迎える『あぶない刑事』。タカ&ユージのコンビも映画『さらば あぶない刑事』(1月30日公開)で見納めに。そこで舘ひろし&柴田恭兵に作品への思いを語ってもらった。
――映画としては、10年ぶりの新作で最後の作品『さらば あぶない刑事』の撮影に入ったときの心境は?
舘「現場に入れば、即、“タカとユージ”になれる。10年という時間を、まったく感じなかったです。それに(柴田と)いろいろなところで会って、話をする機会もあったので」
柴田「“あぶデカ”をいちばん愛しているのは、舘さんですから。“舘さんについていけばいい”という思いで、今回参加しました(笑い)」
舘「僕は、“あぶデカ”愛していますけど(笑い)、“あぶデカ”を体現しているのは、こちら。恭サマがいれば、どんな形でも『あぶない刑事』になっていく。そういう意味で、いつも、すごく安心感がある。
ただ、今回は、原点に戻りたいという気持ちがありました。スタイリッシュでファッショナブルで、ハードボイルド。この3点は押えたかった。初めて脚本の段階から、恭サマと、僕と監督と脚本家とプロデューサーとミーティングして作ったんです」
柴田「僕は前から、70歳を過ぎてから、『あぶない刑事』をやりたいという思いがあった」
舘「昔から言っていたね」
柴田「もっとヨボヨボになってね。それでも、なんとなくカッコいいっていう(笑い)。ごまかしもきくし、そっちのほうがいいと思っていた。でも、いまは、64歳のまだ身体が動くうちに参加できてよかったと思っています。64、65歳って、ほんと若いんです。まだまだ、可能性がいっぱいある」
――70歳より前に実現した今作。撮影がない間もおふたりには交流があったんですね。
舘「恭サマ、いつも僕の芝居を見くれていて、“あれは、よかったよ”とか、いろいろ批評してくれるんです。(柴田は)お芝居で憧れの人で、非常に尊敬しているので、会うたびに、そう言われるのはすごくうれしくて」
柴田「わが家では、奥さんも舘さんのファンなんです(笑い)。だから、いつも作品を見ていて、舘さんと会うと“このあいだ見たよ。すごくよかった。面白かったよ”って伝えます。だって、こんなにチャーミングな人いないですから」
――劇中のアクションシーンに感動しました。柴田さんは、太ももを高く上げる、あの変わらない走り方で。
柴田「あれは、コマを落として(速く走って見えるようにして)もらっているんです(笑い)。いやいや、冗談ですよ。
僕、これまでに舘さんのバイクアクションを何度も見てきたけど、今回、鳥肌が立ちました。タカがユージを助けに来てくれたときに、ゾクって。涙までは出なかったけど、それに近しいものがあった」
――そう感じた特別な理由が?
柴田「あることでタカが深く悲しんでいることをユージは知っている。そのタカが来てくれたので。それと、よくぞいままで転ばずにやってきてくれたと(笑い)。舘さんのバイクのシーンは、最後の撮影になることが多いんです。万が一、ケガするとまずいじゃないですか。だから、最後に撮影をするんですよ」
舘「死んでもいいようにね(笑い)。僕の“(両手で銃を構える)手放しハーレー”は、バランスはオートバイがとってくれるし、体力いりませんから。簡単なんです(笑い)」
柴田「本当は、補助輪がついている」
舘「あとで、CGで消してもらってね(笑い)」
撮影/廣瀬靖士