芸能界だけではない。電通総研の最新の調査で、日本人の13人に1人がセクシュアルマイノリティーと指摘するように、私たちのなかにも確かにいるのだ。
ゴールデンウイーク中に行われた、性の多様性を訴えるイベント『東京レインボープライド2015』は、過去最高という5万5000人の動員を記録。当事者だけでなく一般の参加者、企業の協賛も増えるなど、いま、多くの人がセクシュアルマイノリティーに注目している。
しかし注目度が高まってもなお、「オネエ言葉を操り、みんな新宿2丁目にいて、ド派手な女装やヅカっぽい格好をしている人たち」という思い込みをしている人は珍しくない。実際にはどんな人たちなのか。
「大まかに言えば“性のあり方が社会的に想定外とされ、困らされて生きている人たち”のことです。例えば、同性のパートナーと結婚制度を利用できなかったり、男性として生きているのに“戸籍は女性だから”と女子の制服を強要されたり、恋愛感情を持たないのに、無理やり合コンに連れていかれる……なんてこともあります。最近よく耳にするLGBT……レズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー(性別越境者/出生時に診断された性と違うあり方を生きる人)たちも、このセクシュアルマイノリティーの中に含まれます」
こう語るのは、タレントの牧村朝子さん。自らもレズビアンであることを公言し、フランスでパートナーと同性婚を果たしている。
セクシュアルと聞くと、エロティックなことを連想する人がいるかもしれないが、英語でいう性別をセックスというように、ここでは単に“性に関すること”という意味。
「セクシュアルマイノリティーという字面だけ追うと、“エッチな指向が少数派”というようにとらえられがちですが、実際には“性のことで社会的な抑圧を受ける人々”のこと。反対に、社会的な抑圧がない状態の人をマジョリティーといいます」
これは何も同性愛者だけを指すものではない。
「自分の性別をどう認識しているかを“性自認”、恋愛対象の性別をなんだと思うかを“性的指向”といいます。これらによって前出のLGBTという言葉などで区分けされることもありますが、必ずしも全員がどこかにピッタリあてはまるわけではありません。例えば、“自分は男でも女でもない”という方もいます。性的指向も“恋愛はしたいけれど性欲はない”“男も女もそうでない人も、恋愛に性別は関係ない”などさまざまです」