昨年、横浜市で起きた大規模な“欠陥マンション事件”。全国に衝撃が走った。そこで不具合を総確認して、修理不要の状況か、即修理をすべきかをジャッジするポイントを住宅調査の専門家・長井良至さん(住宅調査の専門会社「カノム」代表)に伝授してもらった。
【揺れ】
意外だが、大型車が通るときに揺れても、構造的な問題ではない可能性大。道路のちょっとした段差で起きることもある。気になるなら道路の管理者に相談するという手も。
人が歩く、風が吹く程度で揺れる場合は、建物の剛力性が不足。壁量を増やす、制振装置を設置するなど大がかりな対策が必要な場合も。
「家に問題があることは確実です。ただ、耐震性のチェックは素人では難しいので、気になる場合は早めに専門家に相談を」
【床鳴り】
木材は湿気などの影響で収縮するので、特定の季節だけに起きる床鳴り、音が小さな床鳴りは大丈夫。
「大きな音の床鳴りは施工不良(釘の種類の間違いやボンドが少ないなどの固定不良)である可能性が高く修理が必要。新築の場合、床鳴りへの保証期間は通常1~2年程度なので、早めに修理依頼をしましょう」
また、たわみは強度不足や湿気によるものであることが多く、シロアリ被害も懸念される。
【悪臭】
「排水管の通気漏れ、排水管接続部のパッキン不良など、欠陥によってニオイが出ることもありますし、カビ(床下など)が原因の場合も。天井裏に鳥の死がいがあり、ニオっていたという事例もありました」
【騒音】
共同住宅で生活音をゼロにするのは無理。誰もがうるさいと思うレベルでなければ、施工のミスはないと考えて大丈夫。隣の部屋の声が丸聞こえだったり、階下、上階で人が歩く音が大きく響く場合はアウト。
「マンションなど共同住宅には音についての守るべき基準がありますが、一般住宅にはない。防音の施工を依頼していなければしかたないことが多いですね。とはいえ、あまりの騒音は床の厚さ不足なども疑えます」
【隙間風】
気密性能をうたった家でなければ、多少の隙間風は普通。気密に関しては規定がなく、施工業者に左右される。床と壁の隙間などから風を感じる場合は注意。
「規定で決まっている“通気止め”という処理がきちんと施されていない可能性があります。また、エアコンをつけても設定温度まで上がらないなど、冷暖房の効きが悪いのは、隙間風というより、断熱材が正しく設置されていないことのほうが有力です」
【虫】
クモやクロアリなどは、多少はガマン。まったく虫がいない家などありえません。ただし、大量に同じ種類の虫が発生した場合は?
「隙間ができ、通り道がある可能性が。床下から入るケースが多いので、床下を点検。水がたまり、虫がわいているかもしれません。また、ヒラタキクイムシやシロアリは家をダメにするので、すぐに対策しましょう」