そんな彼女の現状を夫の砂川啓介が、詳細を語ってくれた。お互いを支えながら結婚生活50年を越えた2人。病に侵された妻を、いま夫は必死に支えている。
「僕は不幸を不幸と感じないんだよね。それより主婦の偉大さを実感しています。彼女は掃除も洗濯も、得意だった料理も何もできません。昔から来てくださっているお手伝いさんが、介護の経験もあって助けてくださっていますが、食事は僕が作っています。僕も料理が得意ですが、三度三度、毎日のこととなると別ですからね。大変ですよ」
現在、大山は病と必死で闘っている。
「起きて食事して、薬を飲んで寝て、という毎日です。外出はほとんどしておりません。外に出るのは病院に行くときくらいです。自分が『ドラえもん』の声をやっていた記憶があるのかないのかもわかりませんが、現在放送している『ドラえもん』を普通に見ていますね。話したことを忘れてしまうので話が通じませんから、あまり会話はないですね。ご飯を食べながら、見ているテレビの内容について、話すくらいですか」
ただ病気が快方に向かう兆しがまったく見えないわけでもない。
「認知症に音楽がいいという話をテレビで見たので、親しい仲間を呼んでカラオケをやったんです。彼女はいつもなら絶対に歌わないんですが、みんなが歌っているのを聴いているうちに一緒に歌いだして、その日は表情が豊かになりましたね。その後、僕のCDを聴いたりして、表情に変化が現れるようになりましたね。怒ったりすることも少なくなりました」
今月発売される砂川のCDアルバムにも大山の声が収録されている。
「ドラえもんの声じゃなくてもいいよって言ったんだけど、自然とドラえもんの声になっていたね。同じことを何度も言っちゃっていたりしたけど、ちゃんとできましたし、最近までアフレコもやっていたんですよ」