それにしても、景気が必ずしも好転しているとはいえないなか、ディナーショーが衰えを見せない理由はというと。
「言いすぎかもしれませんが、決まったお金がまとまってドンッと入るので、歌手にとって年に1度の稼ぎどきなんです。ホテルのほうにもそれは言えて、ディナーショーって毎年、利益の見込みができるので、みんなハッピーなんです。だから、たいてい同じホテルで同じ人が毎年ディナーショーを開いていたりするんですよ」
と、川内さん。さらに「相乗効果も期待できる」として、
「“料理もよかったし、ショーも楽しかった”というホテルの評判にもつながり、宿泊や結婚式にも使われるという、長い目で見たメリットもあるんです。ホテルっていろいろな利用方法があるけど、ホテル側にとってもディナーショーは客層を広げる役割も担っているんです」(川内さん)
また、今年はデビュー50周年の谷村新司をはじめ、35周年の鈴木雅之など、自らの節目の年とディナーショーを絡めるケースも目立つ。これについては、
「昔はデビュー〇周年というときは、歌手が自分でパーティーを開いていたんですよ。お金をかけてやっていたのを、ディナーショーに変えてきているのでは。パーティーとは別にディナーショーもあるとなると、集客力にも響きますしね」(川内さん)
とはいえ、お値段ランキングの上位には何十年もの芸歴を誇るビッグネームがずらり。このあたりも踏まえて、川内さんにディナーショーの今後を聞いてみると―。
「やっぱり、お客さんを呼べて採算がとれる人ってなると、大物に偏ってくるんですよ。ただ、ホテル側にとっても、もう少し若い層を呼べないかともなるので、アンパンマンやモノマネなんかのショーも増えていく気がします。個人的には、日本の伝統的な三味線とか太鼓とかとコラボしながらやっていくっていうのはアリかなと。あと、若手のイケメン演歌歌手集団とか。ちょっとした歌謡ディナーショーみたいな需要はあると思いますよ。ありえない組み合わせでも、ディナーショーならではのペアが実現したりしますから」
ありえない組み合わせ、というならいっそ、ディナーショーの“ミス&ミスター”、聖子と郷の共演はどうだろう? 川内さんは「ありえない! それはありえないですよ(笑い)」と即答しながらも、
「もし実現したら、値段的に1人10万円は軽くいきますよ。きっと15万~20万円でも出す人はいるでしょう。私も見たい! お祭りになって、ニュースになりそうですね。でも、話題づくりのきっかけのために、今後あるかもしれないですよね。あってほしいな、とも思います」
ただ、参加するためには気になるのがチケットが取れるかどうか。席が埋まってしまう期間を例年の傾向で聞いてみると、
「人気アーティストは販売初日~3日程度で完売しますが、平均的には11月中ごろ、みなさまがクリスマスのご予定を決めるころまで、お席は残っています」(ホテル椿山荘東京)
帝国ホテルによれば、「即日完売というわけではないですが、よい席を確保したい方には早めのご予約をおすすめします」とのことだった。
ディナーショー常連はもとより、未経験の人も、ここはいろいろ検討してみて、年末の思い出づくりにぜひ、お役立てください!