11月28日、NHK杯で322.40点という、世界最高得点で優勝した羽生結弦。その後に行われた会見は、まさに羽生のひとり舞台だった。

「普段もきちんと受け答えする羽生選手ですが、あれほど饒舌になるのは珍しい。最後には“話が長くなってすみません”って、自分で謝っていたくらいですから。日本のファンの前で完璧な演技をしたことが、よほどうれしかったんでしょう」(スポーツ紙記者)

 今シーズンの羽生はショート(SP)とフリーで、4回転ジャンプを5回跳ぶ難易度の高いプログラム。元フィギュアスケート選手で解説者の佐野稔氏も感嘆の声を上げる。

「ソチ五輪のプログラムと比べると、今シーズンのプログラムは1.5倍くらい難しい。それをNHK杯では100点満点の演技をした。300点を超えるというのは、僕らからしても本当に衝撃ですよ」

 興奮冷めやらぬ中、11日からはグランプリ(GP)ファイナルが開幕する。GPシリーズを2戦ずつ戦った選手の中から、男女それぞれポイント上位の6名だけが参戦し、チャンピオンを決める大会。

 日本勢は、男子が羽生のほかに、宇野昌磨と村上大介。女子は浅田真央とNHK杯優勝の宮原知子が選ばれている。

「特に男子が3人も選ばれているというのはうれしいですね。羽生選手のほかに、若手の宇野選手、村上選手が入ったというのは、日本の層の厚さを示しています。追うふたりが羽生選手をいい意味で刺激している」(前出・佐野氏)

 そのほか、男子ではGPシリーズで2連勝したハビエル・フェルナンデスとソチ五輪銀メダリストのパトリック・チャン。そして、NHK杯で4回転トゥーループ+トリプルアクセルの大技を決めた金博洋と、強敵がそろった。

「フェルナンデスは調子がいいですし、地元であるスペインで開催されるというのも有利に働くのは間違いない。彼のコーチは羽生選手と同じブライアン・オーサーなのですが、今シーズンのチーム・オーサーは選手の母国を意識した音楽や振り付けをし、それが見事にハマっている。それでも、実力は羽生選手が断トツですし、優勝で3連覇は間違いないでしょう。何といっても現在300点を超えられるのは彼だけですからね。でも、2位争いは混戦で、どの選手にもチャンスはあると思いますよ」(前出・佐野氏)