元プロレスラー・格闘家の前田日明が投稿した、自身のYouTubeチャンネル動画が話題になっている。
「全部受け身が取れてません」と批判した前田
前田は、3月20日にDDT後楽園大会で頚髄損傷の大ケガを負った高梨将弘をはじめとした最近のリング上での事故について言及。「レスラーの質がダメ。体ができてない」と一喝した。
続けて「技を仕掛ける側もケガしないようにコントロールするということが全然ない。あと受ける側も受け身の技術を練習してない。パンチやキックというのは何十発受けてもダウンするぐらいで終わりますけど、投げ技は変な落ち方すると一発で一生寝たきりになる」と語った。
さらに受け身についても「スラムで真っすぐバーンと突き刺して、ちゃんと背中から落ちられる技術を持っているかどうか。それを持ってない奴は全部受け身が取れてません」と厳しい言葉を並べた。
しかし、前田の発言を知った現役プロレスラーたちから多くの反発が生まれてしまったのだ。
「総合格闘家の佐藤光留さんは、自身のXで《アホやろ。見た事ないものを見たように語る時点でアホやろ》《他人を悪く言うのは簡単。誰でも出来る。誰でも出来る事を、まるで“俺は全て見抜いてる”みたいに言う奴を詐欺師って言うんだ》などと強く反論したんです。
さらに、新日本プロレスリングの鷹木信悟さんも、自身のXで、《プロレスを舐めるな!!という言葉は改めてレスラーもファンも認識すべき事だとは思う》と前田の発言を一部肯定しながらも、《怪我や事故は出来るだけ避けたい事だが、その事を理解し覚悟を持ってプロレスラー達はリングに上がってると思う》と現役プロレスラー達の立場に理解を示しました」(スポーツ紙記者、以下同)

相互の言い分を聞いたファンの多くは、現役プロレスラーの“反論”に賛同する声が多いようだ。さらに、一部のファンからはこんな声も集まっている。
《受け身が下手とかいうレベルではなくて、今のレスラーが使う技は受け身が取りづらいモノが多いと思います》
《人間の耐久力が技についていけない事はあるので過度に危険な技や落差のある技、頭から落とす技とか見直すべきだと思う》
《前田の言うとおり、最悪一生寝たきりになるから技を制限すべき》
プロレスの“危険性”を理解した上で、安全を確保してほしいという願いも聞こえているのだ。
各プロレス団体を取材しているフリーライターは、過去に起こった事故を受けてファンの心境も変化しているだろうと指摘する。
「2009年に、プロレスリング・ノアの三沢光晴さんが対戦相手の斎藤彰俊さんのバックドロップを受けたことで頸髄離断。リング上で帰らぬ人になりました。さらに、2017年には高山善廣さんがリング上で頸椎完全損傷の大怪我をし、今もリハビリに取り組んでいます。過去の痛ましい事故からファンの間で安全性を問う声があがるのは当然だと思います」
ほんの少しのミスが命取りになるプロレス。前田も“事故がないように”との思いから発言したのだろう。しかし、現役選手への否定的な表現が反発を生んでしまったようだ。
「新日本プロレスの永田裕志さんも、前田さんの発言を受けて、自身のYouTubeチャンネルで《技が進化する中で、受け身についても今の選手は昔の選手以上に熟知して研究していると思います》と言及。技の形は変わりながらも、怪我をさせようとして技をかける選手はいないはず。現役でも、現役でなくても“事故なく安全に”という根底は、変わらないでしょう」
プロレスラーとしての“プロ意識”はいつでも変わらないはずだ。