どんどん拡大している2.5次元舞台の中でもやっぱり圧倒的な人気を誇る舞台『弱虫ペダル』。その新作が、3月4日、東京を皮切りにスタート。稽古場密着レポートをどこよりも早くお届け。
2月中旬、新キャストを対象としたワークショップや基本動作の稽古を終え、他キャストも合流。実物大の舞台装置が組まれた稽古場は活気づいていた。
この日の稽古は総北高校のシーンが中心。前作までの3年生が卒業し、10人中7人が新キャストの総北メンバー。
ペダステの芝居には、演出・西田シャトナー氏独特のパワーマイム(小道具をほとんど使わずにさまざまな場面を表現)やフォーメーション移動があり、最初は段取りで頭がいっぱいになることも。西田氏は自らが動いてみせながら、ひとつずつ丁寧に説明する。
キャストがそろったら、劇中歌「Over the sweat and tears」と舞台版「恋のヒメヒメ☆ぺったんこ」の歌&ダンスがスタート。
ここでは、シリーズ2作目から出演している植田圭輔くん(真波山岳役)や河原田巧也くん(泉田塔一郎役)が前に立って踊るので新キャストも安心。かわいい振りを笑顔で、でも実はかなり真剣に踊るイケメンの姿は貴重かも!?
稽古途中で、突然開催を告げられたのは「ゴリ蔵オーディション」! ペダステではキャストがメインキャラクター以外にモブ(その他の役)を演じるのも見どころのひとつ。前作で小越くんはモブの女子高生やセミなどを演じ、なんと17回(!?)も着替えたという。
オーディションに参加したのは、植田くん、河原田くん、桝井賢斗くん(水田信行役)、スロープ移動など演出をサポートするパズルライダーの面々。それぞれが個性的に演じるゴリ蔵に、見守るキャストたちはヒューヒュー大盛り上がり。オーディションの結果は本番をお楽しみに。
そして稽古後半は、山本一慶くん(杉元照文役)、椎名鯛造くん(鏑木一差役)が中心となるレースのクライマックスシーンへ。今作の見どころのひとつとなるこの場面。
ペダステにしかない動きの連続に、椎名くんは「台本に何てメモしていいかわからへん」と笑いつつも走り続け、キャストもアイデアを出し、修正を重ねながら、ペダステの真骨頂ともいえる躍動感あふれるシーンを練る。みるみるうちに、芝居がより鮮やかにダイナミックに彩られていく!
そんな中、稽古終了予定時刻に。もう少し延長して、シーンを完成させられたら……と考えるスタッフに、誰よりも走り続けた山本くんが、汗だくで息を切らしながらも「しましょう!」と即答。
「こんなきつい舞台知らないわ~」と笑いながら稽古を続ける椎名くんの楽しそうな姿は、舞台『弱虫ペダル』の魅力そのものと言える。そして、稽古の最後に聞いた西田氏の「いいじゃない! よくやったな!」という言葉。本番が待ち遠しい。
取材・文/中川實穗 撮影/廣瀬靖士