「すごい出血でしたね。“こんなに血って流れるの?”ってびっくりしました。頭と顔にボタボタ、ダラダラ垂れていて、姉(加害者)に刺された妹(被害者)が座っていた場所のテーブルや座布団、壁にも飛び散りました」
目の前で繰り広げられた刃傷ざたを、事件現場の飲食店社長が、生々しく振り返る。事件は今月19日夕方、埼玉県三郷市の飲食店で起きた。埼玉県警の広報担当者が、概要を伝える。
「午後5時40分ごろ、飲食店において被害者42歳の女性の頭部を、所持していた刃物で殺意をもって切りつけたが、頭部切傷の傷害を負わせたにとどまり、殺害の目的を遂げなかった、というものです。殺人未遂の容疑で逮捕した加害者は、切りつけたことは認めていますが、“殺すつもりではなかった”と、殺意は否認しています」
しかし事件前、姉妹が口論となり「殺してやる!」という物騒な言葉が発せられたことを、周囲は耳にしている。
姉が刺し、妹が刺されるという修羅場。その日の午後2時半ごろ、姉と男性がまず飲食店を訪れ、3時過ぎに男性の知人らしい女性が加わった。4時前に妹が合流して盛り上がっていた様子だったという。
「女性は妹が来て間もなく帰りました。妹は飲んでないけど、ほかの人はそれぞれサワー系を3杯くらい頼んでいたと思う。妹が来るまでは楽しそうでしたが、やがてモメ始め口論になった」と飲食店社長が経緯をつまびらかにする。
口論は自然とおさまった。5時ごろ姉が「ごちそうさま」と店を出ていった。
「ところが姉は30分後ぐらいに戻って来て、妹の胸ぐらをつかんで店の入り口まで引っ張っていった。妹のほうがガタイがいいから、外までは連れていけなかった。ほかのお客さんに迷惑なので、席に戻ってもらい、騒動がおさまったかなと思っていたんですが……」
帰宅したかのように思えた姉は、いったん自宅に戻り、包丁を持って引き返してきていたのだ。バッグからその包丁を取り出し、座っている妹に振りかざしたという。防犯カメラで映像を確認したという飲食店関係者は、
「姉は妹の左肩をつかんで、左の頭を刺していました。包丁を振り回したら当たった感じにも見えました。最初、あっけにとられていた男性は、われに返って、姉を床に押し倒した。店長が包丁を奪って、店の者が110番しました」
流血が止まらない妹は、「死ぬ~死ぬ~」「遺言書を書かなきゃ」と騒ぎ、約15分後くらいに到着した救急車で病院に搬送されたという。捜査関係者によれば、ケガの様子は左側頭部に約15センチの切傷。出血のわりに、「幸い命の危険はなく、その日のうちに退院したようだ」という。